1992 Fiscal Year Annual Research Report
各種薬毒物中毒時における凝固・線溶系の変動に関する研究
Project/Area Number |
03454215
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
山田 高路 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90065540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 洋子 愛知医科大学, 医学部, 助手 (70097806)
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Keywords | 青酸中毒 / 血小板 / 凝固 / 線溶 |
Research Abstract |
青酸や一酸化炭素等による中毒死において、しばしば血液は流動性を示すと報告されている。これらの現象を明かにする為、本実験は青酸カリウムを中毒物質として取り上げ、血液凝固・線溶・血小板機能に及ぼす影響について検討した。【方法】動物はゴールデンハムスター(♂、10-12weeks)を使用し、実験群は次の4群とし、採血時抗凝固剤1/10容3.8%クエン酸ナトリウムを加えた。1.対照群、2.0.1%KCN投与群、3.0.15%KCN投与群、4.0.2%KCN投与群の4群に分け、KCN投与群は各濃度の溶液を体重1Kgにつき10ml径口投与し、その後経過観察し死亡例については死亡直後に心採血し、また生存例については10分まで経過をみて軽くエーテル麻酔し、開胸し心採血した。上記の4群の血液を検体として、次の項目について検討した。1.血小板数、2.血小板凝集能、3.Thrombelastography(TEG)、4.凝固時間APTT、PT、5.フイブリノーゲン量、6.凝固・線溶因子活性。【結果と考察】1.血小板数には著明な変化は観察されなかった。2.血小板凝集能にも著変はなかったが、0.15%KCN投与群は測定値が大きく変動した。3.TEGは対照と0.2%KCN投与群を比較すると、r、k値とも投与群が延長の傾向にあった。4.APTT、PT、フイブリノーゲン量に著変はなかった。5.凝固・線溶因子活性は0.1%KCN投与群でプロトロンビン、X因子、XII因子の消費の傾向が観察されたが、t-PAが0.1%KCN投与群で低下が観察された。以上の結果より、青酸中毒による影響は、内因性凝固の活性化が比較的低濃度で起こっていたが、線溶に関しては一定の傾向は得られなかった。また比較的低濃度投与群の死に至る経過が長い群では、値が大きく変動し不安定であった。すなわち、高濃度投与によるショック状態で死亡する場合と、低濃度で死亡が少し遷延した場合では異なり、青酸そのものの中毒による影響というよりも、死の機転に大きく左右されると思われた。
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