1991 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの病因解明に関する研究ー滑膜浸潤T細胞上のCD3分子の燐酸化解明からアプロ-チ
Project/Area Number |
03454220
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
安倍 達 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60051207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 宏一 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00175928)
小出 純 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70178193)
竹内 勤 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50179610)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / CD3分子 / T細胞 / 燐酸化 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の滑膜T細胞はHLADR抗原の陽性頻度が高く活性化された状態にあるといえる。他方T細胞の別の活性化マ-カ-であるILー2リセプタ-やγIFNの発現をみるとそれが単に蛋白レベルのみでなくmRNAレベルでも発現されていない。それらT細胞活性化に関する相反する事実は,滑膜T細胞は特異な活性化状態にあるといえる。そこで滑膜T細胞の燐酸化を検索することによって,その活性化状態が分ると同時にいかなる刺激によって滑膜T細胞が活性化を受けているかが明かとなる。かゝるアプロ-チによりRAの病因を解明することを目的とした。 手術時得られた滑膜よりT細胞を採取し無刺激あるいはPHA刺激後に各種酸素を使用し採取しその後 ^<32>Pで標識し抗ε抗体,抗ζ抗体で免疫沈降しT細胞サブユニットの燐酸化を検索した。その結果以下の成績を得た。(1)正常人末梢血T細胞をPHAで刺激するとCD3分子はγ鎖で燐酸化をおこしていた。また抗ζ抗体で免疫沈降するとζ鎖の燐酸化が証明された。(2)他方RA滑膜T細胞をそのまゝ燐酸化し抗ε抗体で免疫沈降するとCD3分子のγ鎖の他に恐らくε鎖あるいはδ鎖に相当する部位で燐酸化をうけていた。(3)そのT細胞のζ鎖の燐酸化はみられなかった。 (4)そこで滑膜T細胞をPHAで刺激したが,静止期末梢血をPHAで刺激したときにみられたCD3分子のζ鎖の燐酸化はおきなかった。 以上の成績はRA滑膜に浸潤しているT細胞は特異的な活性化をうけている可能性を示していた。したがってRA滑膜T細胞は非特異的な刺激によって活性化されていることになり,RAの病因解明に重要な示唆を与えるものである。
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[Publications] 安部 達,松山 隆美,竹内 勤,小出 純: "慢性関節リウマチの発症に対する考え方" リウマチ. 31(6). 619-620 (1991)
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[Publications] Takeuchi T.,Koide,J.,Amano K.,Abe T.: "The presence of antiーprotein A antibodies in patients with rheumatoid arthritis" Scand Immunol. 33. 585-592 (1991)
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[Publications] Matsuyama T.,Yamada A.,Abe T.,et al: "Cytochalasin enhance the proliferation of CD4 cells through the CD3ーTi antigen receptor complex or the CD2 molecule through an effect of early events of activation" J Immunol. 146. 3736-3741 (1991)
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[Publications] 松山 隆美,田中 信介,内田 詔爾,渡辺 辰雄,安倍 達: "慢性関節リウマチ滑膜T細胞のシグナル伝達" 臨床免疫. 23. 1470-1479 (1991)