1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454220
|
Research Institution | Saitama Medical Center, Saitama Medical School |
Principal Investigator |
安倍 達 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60051207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 宏一 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00175928)
小出 純 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70178193)
竹内 勤 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50179610)
|
Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / 線維芽様細胞 / CD44抗原 / 血小板由来増殖因子 |
Research Abstract |
滑膜細胞は二種類の細胞によって構成されている。その一つはマクロファージ系細胞でA型細胞であり他の一つは線維芽様細胞でありB型細胞である。手術時に採取した滑膜細胞を培養することによりそれら細胞をクローン化することに成功した。本年度の研究では特に線維芽様細胞の性格と機能を明らかにすることにした。それはこの細胞がパンヌス形成と密接な関連を持ち、軟骨や骨破壊を起こすからである。軟骨や骨破壊は慢性関節リウマチの基本的病変であり、その形成機序を明確にすることは治療法開発に直結する重要課題である。 教室で樹立した線維芽様細胞(B型細胞)はその表面にCD44分子を高率に発現していた。このCD44分子は接着分子の一つとしての機能を有し、パンヌス形成など関節病変形成に深く関与している。さらに興味あることはクローン化した線維芽様細胞(B型細胞)をいろいろな滑膜中に存在するサイトカインを加えて培養した結果、それはPDGF存在下にのみ増殖を示した。このことは滑膜の増殖、血管の新生を特徴とする関節病変発症機序を考える上で非常に大切な事であった。 CD44分子はそれ自体が接着分子として作用するが、滑膜に浸潤するT細胞の接着分子を検討した結果、高率にVLA抗原とくにVLA-4抗原が発現していることが明かとなった。このVLA-4抗原はβ_1インテグリンに属する接着分子であり、細胞ー血管内皮の接着に重要な意味をもっている。さらに重要なことはVLA-4抗原は細胞ー細胞外マトリックスとの接着に関与することである。このように滑膜に浸潤した細胞は病変局所にとどまり、さらに細胞外マトリックスは局所浸潤T細胞の活性化を増殖する。すなわちそのような機序によって関節病変の慢性化がおこることになる。
|
-
[Publications] Takeuchi T,Hosono O,Koide J.et al: "Presence of anti-protein A antibodies in Patients with rheumatoid arthritis" Scand J Immunol. 33. 585-592 (1991)
-
[Publications] Matsuyama T,Yamada A.et al: "Cytochalasins enhance the proliferation of CD4 cells through the CD3-Ti antigen receptor" J Immunol. 146. 3736-3741 (1991)
-
[Publications] Abe T.: "Recent trends in clinical immunology" Jap J Medicine. 31. 1161-1162 (1992)
-
[Publications] 安倍 達,小出 純.松山 隆美: "慢性関節リウマチの病因と関節病変形成機序" 日本臨床免疫学会誌. 15. 111-119 (1992)