1992 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎における疫患感受性・抵抗性HLAクラス2抗原遺伝子の分子生物学的解析
Project/Area Number |
03454227
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清沢 研道 信州大学, 医学部・内科学第二教室, 助教授 (30020829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪子 英俊 東海大学, 医学部・分子生命科学教室, 教授
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / ヒト主要組織適合性抗原 / 疾患感受性,抵抗性遺伝子 / HLA-DNAタイピング / PCR-RFLP法 / 原発性胆汁性肝硬変 |
Research Abstract |
日本人の自己免疫性肝炎引例とHLA-B54,DR4との相関については1990年HEPATOLOGY(vol12:1301-1304)にて報告した。本年度は本疫患55例に対し,血清学的タイピングに加えHLAクラスII抗原にいて我々が開発したPCR-RFLP(polymerase chain reaction-Restriction Fragment Length polymorphisms)法によりDNAタイピングを行い疫患感受性遺伝子の解析を行った。血清学的タイピングでは本疫患とHLA-B54,DR4,DR53,DQ4との有意の相関を認めた。中でもDR4との相関が最も強く,DR4陰性患者は全てDR2を有しており,発症年令ではDR4陽性患者よりもDR4陰性DR2陽性患者の方が有意に高令であった。DNAタイピングではDR4は塩基配列のレベルで8種類のDR2は4種類のalleleに細分されるが,DR4の8種類及びDR2の4種類のalleleの分布は正常健常群と患者群では変化はなく,DR4またはDR2の各alleleに共通のアミノ酸配列の発症への関与が疑われた。HLA-DRB1鎖の各alleleのアミノ酸配列を本疾患感受性群と非感受性群と比較すると,PRB1鎖の第13番目のアミノ酸が患者全例で塩基性であるのに対し,この他のallele,つまり非感受性群では全例中性アミノ酸であり,このアミノ酸が日本人の自己免疫性肝炎の発症に強く関わっていると示唆された(Jmannogenetics,1992;36:49-55)。さらにDRB1*0405,DQA1*0301,DQB1*0401と本疫患とに有意の相関も認めたがこれらはいづれも,血清学的タイピングによるDR4と本疾患とも相関よりはるかに弱く,DR4との連鎖不平衡の結果と考えられた。DPB1では本疾患群と健常群とで有意差は認められなかった。(Gastroenterology 1992;103:1041-1047)。また原発性胆汁性肝硬変において,血清学的及びDPDNAタイピングの結果,原発性胆汁性肝硬変とHLA-DPB1*0501との有意の相関を見出し,DPB1鎖35番目のアミノ酸がLeuであることが疾患発症に強く関与していると考えられた。(HEPHTOLOGYにて校正論文審査中)
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T SEKI,et al,: "HLA class 2 molecules and antoimmune hepatitis susceptibility in Japanese patients." Gastroenterology. 103. 1041-1047 (1992)
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[Publications] M,Ota et al,: "A possible association between basic amino acids of position 13 of DRB1 chains and antoimmune bepatitis." Immunoglnetics. 36. 49-55 (1992)
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[Publications] 関 健 ,他: "日本人自己免疫性肝炎における疾患感受性・抵抗性HLAクラスII遺伝子の分子物生学的解析" 日本臨床・肝臓の分子病態生理学.
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[Publications] 関 健,他: "特集/自己免疫性肝炎 「免疫遺伝子」" 肝胆膵(国際医書出版).
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[Publications] 猪子 英俊: "PCR法を用いたHLAと疾患感受性の解析" 臨床科学. 27. 1063-1069 (1991)
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[Publications] 太田 正穂: "PCRを用いたHLAタイピングによる疾患感受性の解析" 信州医誌. 40. 553-565 (1992)
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[Publications] 清沢 研道,他: "自己免疫性肝疾患 自己免疫性肝炎の臨床データと検査データ" 日本医学館, 5 (1992)
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[Publications] 関 健 他: "最新内科学大系 HLA遺伝子の構造と機能" 中山書店,