1992 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜防御機構におけるアクチンの役割ーその分子生物学的解析
Project/Area Number |
03454230
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Research Institution | SCHOOL OF MEDICINE, UNIVERSITY OF TOKUSHIMA. |
Principal Investigator |
六反 一仁 徳島大学, 医学部, 助教授 (10230898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 恭一 徳島大学, 医学部, 教授 (80035435)
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Keywords | 胃粘膜防御 / 培養胃粘膜細胞 / グルタチオン / アクチン / S-thiolation |
Research Abstract |
平成4年度の研究として、培養胃粘膜細胞を用いたin vitroの系において、胃粘膜細胞の剥離とその防御機構について一定の見解が得られた。酸化ストレスによる細胞内蛋白質の修飾(S-thiolation)の解析の中で前年度において、42KDの蛋白質のS-thiolationはアクチンであることをイムノブロット法で確認したが、本年度は、さらにDNaselのアフィニテイクロマトグラムおよびミオシンを用いたアクトミオシン沈降反応によるアクチンの精製を行なった。この過程で、アクチンのS-thiolationに伴う生物活性の変化として、DNaselとの結合能の消失を新たに見いだしアクチンのS-thiolationに伴うDNaselの活性化機構と、その生理作用としてアポトーシスとの関連が示唆され、非常に重要な新知見が得られた。アクトミオシンの沈降反応により精製したアクチンにおいてもアクチンのS-thiolationを確認した。 以上、細胞内のグルタチオンはアクチンのS-thiolationを介してアクチンの生物活性を変化させる。具体的には、S-thiolationを起こしたアクチンは、酸化ストレス下での過重合を抑制し、重合アクチンを脱重合させ(定状状態でのATPase活性の亢進)、アクチンのSH基を保護しジスルフィド結合を介するアクチン線維間のクロスリンキングを防ぐ。これらの機能により、細胞内グルタチオンは、アクチンのS-thiolationを介して酸化ストレス下でのマイクロフィラメントのダイナミックスを保ち、細胞の剥離を防ぐ事が明らかに出来た。これらの結果をまとめた論文は、現在投稿中である。 アクチンのS-thiolation以外に、S-thiolationを引き起こす他の蛋白質の同定の作業も行い、22と15kDの蛋白質は、ミオシンL鎖であることを二次元電気泳動とイムノブロットにより確認し、30kD蛋白質の同定の作業とともに、ミオシンL鎖の生物活性の変化について現在検討している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kazuhito Rokutan: "Phagocytosis and stimulation of respiratory burst by phorbol diester initiates S-thiolation of specific proteins in macrophages." Journal of Immunology. 147. 260-264 (1991)
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[Publications] Keiya Nakamura: "Induction of heat shock proteins and their implication in protection against ethanol-induced damage in cultured guinea pig gastric mucosal cells." Gestroenterology. 101. 161-166 (1991)
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[Publications] Kazuhito Rokutan: "Specific S-thiolation in gastric mucosal cells:possible role of protein sulfhydryls in gastric cytoprotection." Frontiers in mucosal immunology. 2. 577-580 (1991)
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[Publications] 二木 修司 他: "エタノールのモルモット胃単離壁細胞の酸分泌機構に及ぼす影響" 日本消化器病学会誌. 88. 2094-2100 (1991)
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[Publications] 二木 修司 他: "エタノールによる〔Ca_<2+>〕i上昇に伴うモルモット単離胃壁細胞の酸分泌機構の変化" 日本消化器病学会誌. 89. 1484-1490 (1992)
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[Publications] 六反 一仁: "Oxidative stvessにおける細胞骨格の修飾" 医学のあゆみ. 157. 2785-2792 (1991)
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[Publications] Kazuhito Rokutan: "Oxidative damage and repair" Kelvin J.A.Davies, 889 (1992)
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[Publications] 六反 一仁: "ストレス研究の新しい展開をめざして" 川井啓市, 244 (1991)