1991 Fiscal Year Annual Research Report
心・血管系における負荷に対する応答機構 ー分子生物学的アプロ-チによる解析
Project/Area Number |
03454247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病), 教授 (20101090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
方 榮哲 東京大学, 医学部(病), 医員
栗原 裕基 東京大学, 医学部(病), 助手 (20221947)
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 講師 (60207975)
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Keywords | 心肥大 / MAPキナ-ゼ / ゲル内リン酸化 / 細胞内情報伝達 / プロテインキナ-ゼC / 心筋細胞 / 伸展刺激 / ラット |
Research Abstract |
心肥大は、心筋の負荷に対する適応現象であり、心筋細胞における収縮蛋白の生合成が亢進する結果発生すると考えられる。心肥大の発生機構を細胞、分子レベルで明らかにするために、我々はこれまでに、独自に開発したシリコン培養ディッシュを用い、伸展刺激を加えた培養心筋細胞における細胞内情警伝達系の解析で、心肥大形成にイノシト-ルりん酸代謝の亢進によるCキナ-ゼの活性化、さらには核内癌遺伝子cーfosの発現が直接関連していることを示した。今回我々は、様々な増殖因子によって活性化し、細胞内情報伝達のキ-蛋白として近年注目されているMAP(mitogenーactivated protein)キナ-ゼに着目し、培養心筋細胞におけるその活性化を検討した。その結果,30分伸展刺激を加えたラット新生児心筋細胞の抽出液中において、MAPキナ-ゼ及びCキナ-ゼの共通の基質として知られているMBP(myelin basic protein)のキナ-ゼ活性が約1.8倍に亢進し、ゲル内リン酸化反応により、そのキナ-ゼ活性が分子量43kDa及び76kDaの蛋白にあることを見いだした。さらに、MAPキナ-ゼに対する抗体を用いた免疫沈降反応及びリン酸化アミノ酸解析により、伸展刺激で約6倍に増加した分子量43kDaのリン酸化蛋白は、スレオニン及びチロシン残基がリン酸化され活性化したMAPキナ-ゼ自身であることを明らかにした。MAPキナ-ゼは、cーjun等の核内癌遺伝子発現を介して転写レベルで蛋白生合成亢進に寄与しているのみでなく、40Sリボゾ-ムのS6キナ-ゼIIの活性化を介して、翻訳レベルでの蛋白生合成亢進に関係している可能性がある。さらに検討を重ねる予定である。
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