1991 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムの血管拡張作用における内皮由来血管拡張物質の役割
Project/Area Number |
03454249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 医学部(分), 助教授 (10114125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 克之 東京大学, 医学部(分), 助手 (60184313)
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Keywords | マグネシウム / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 血管反応性 / ノルエピネフリン |
Research Abstract |
マグネシウム(Mg)欠乏が高血圧の原因になるだけではなく、冠動脈疾患などの発症にも重要であることが多くの研究によって示されている。そこで、Mg欠乏の血管収縮機能への関与について検討する目的で、以下の実験を行った。 〔方法〕7週令のSpragueーDawleyラットにMg欠乏食CMg含量3.27mg%)とMg負荷食(Mg含量87mg%)を4週間投与し血清電解質の変化を調べ、taT1ーCuff法により収縮期血圧を測定した。また、これらのラットの胸部大動脈を摘出し、リング標本を作製してカリウム(K)とノルエピネフリン(NE)の血管収縮反応を比較検討した。この際、血管内皮細胞を除去したリング標本についてもNE収縮を検討した。 〔結果〕Mg負荷ラットに比べMg欠乏ラットでは体重差がなかったが、Mg欠乏ラットでは血清Mg値が1.16±0.05mg/dlとMg負荷ラットの2.78±0.08mg/dlに比較して著明に低下していた。しかし、血清ナトリウム、カリウム、クロ-ル、カルシウム値には差がなかった。また、収縮期血圧はMg欠乏ラットでは130±5mmHg、Mg負荷ラットでは120±3mmHgと、Mg欠乏ラットで上昇傾向を示した。K収縮は両群で差異がなかったが、NE収縮はMg負荷ラットに比較して、Mg欠乏ラットで最大収縮・pD2ともに低下していた。しかし、血管内皮を除去した大動脈リング標本ではpD2は内皮のintactな標本と同様に差があったが、最大収縮には差がなかった。 〔考察〕Mg欠乏ラットでは血管反応性の低下を認め、これはMg欠乏による血圧上昇傾向を代償している機構であると推測された。これに対し内皮除去を行うと、最大収縮の低下は回復したことから内皮細胞機能がこの代償機構に一部関与していることが示唆された。しかし、pD2は内皮除去によっても回復せず、直接平滑筋細胞を介する代償機構も存在する可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤 雄二,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "Role of chlroide in angiotensin IIーinduced saltーsensitive hypertension" Hypertension. 18. 622-629 (1991)
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[Publications] 佐藤 雄二,安東 克之,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "High potassium intake attenuates antihyperensive response to air stress in DOCAーsalt rats" Am J Physiol. 260. R941-R945 (1991)
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[Publications] 安東 克之,高橋 克敏,小野 歩,下澤 達雄,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "Possible role of sodiumーhydrogen antiport in acetylcholineーinduced relaxation of rat aorta" Biochem Biophys Res Comm. 177. 407-413 (1991)
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[Publications] 安東 克之,佐藤 雄二,小野 歩,高橋 克敏,下澤 達雄,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "Antihypertensive effect of dieary calcium loadind in angiotensin IIーsalt rats" Am J Physiol. 261. R1070-R1074 (1991)
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[Publications] 安東 克之,伊東 康,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "Vasodilating actions of calcitonin geneーrelated peptide in normal man:Comparison with arterlal natriuretic peptide" Am Heart J. 123. 111-116 (1992)
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[Publications] 岡崎 具樹,安東 克之,五十嵐 徹也,尾形 悦郎,藤田 敏郎: "The conserved mechanism of negative gene regulation by extracellular calciumーparaathyroid hormone gene versus atrial natriーuretic polypeptide gene" J Clin Invest.