1991 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋のCa^<2+>非依存性収縮における分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
03454252
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中野 赳 三重大学, 医学部, 教授 (60111879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正明 三重大学, 医学部, 助手 (00223181)
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Keywords | 平滑筋 / カルシウム / エンドセリン / フォルボ-ルエステル / ミオシン軽鎖 / 燐酸化反応 |
Research Abstract |
骨格筋や心筋の収縮は、生理的には細胞内Ca^<2+>濃度(〔Ca^<2+>〕i)上昇による情報伝達によってのみ起こると考えられているのに対し、平滑筋では〔Ca^<2+>〕i上昇によるもの以外に、その上昇を伴わない生理的収縮も起こりうることが注的されている。そこで我々は種々の血管作動物質について細胞外Ca^<2+>非存下に特続的収縮を起こすものをマグヌス法を用いて検索し、それらの物質について〔Ca^<2+>〕iを平成3年度の補助金で購入した細胞内Ca^<2+>測定装置(CAFー110, 日本分光)を用いて張力と同時に測定した。さらに平滑筋収縮弛緩機構に重要なミオシン軽鎖(MLC)の燐酸化についても検討した。 I.細胞外Ca^<2+>非存在下に収縮する血管作動物質の検索 1mM EGTAを含むCa^<2+>ーfree buffer中でnorepinephrine(NE)やcaffeineにより細胞内の貯蔵Ca^<2+>を枯渇させた血管条片について種々の血管作動物質を検討した結果、血管内皮由来のendothelinー1(ETー1),cーkinase活性化作用のあるphorbol 12ーmyristate 13ーacetate(PMA)やphorbo 12,13ーdibutyrate(PDB),魚のneuroーpeptideであるurotensin IIおよびphosphatase inhibitorであるcalyculin A等がこの血管条片に比較的持続する収縮を示した。又それらの相互作用の解析から,各々異なった作用機序により収縮を示すことが明かとなった。 II.細胞内Ca^<2+>と張力の同時測定 細胞外Ca^<2+>非存在下においてNEは一過性の収縮と同時に一過性の〔Ca^<2+>〕iの上昇を示したが,PDBは持続的な収縮を示したにもかかわらず〔Ca^<2+>〕iの上昇は見られなかった。 III.ミオシン軽鎖(MLC)の燐酸化 Ca^<2+>ーfree buffer中のETー1とPDBによる血管条片収縮時におけるMLCの燐酸化をオ-トラジオグラフィ-およびMLC抗体を用いたウエスタンブロット法により解析した結果,ETー1による収縮にはMLCの燐酸化は見られないが、PDBによる収縮にはMLCの燐酸化が見られた。 以上の様に平成3年度の計画は,おおむね満足のいく結果が得られたが,それらの成果を基に平成4年度の実験計画を実施して行きたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroo Itoh: "Contraction of rat thoracic aorta strips by endothelinー1 in the absence of extracellular Ca^<2+>." Br.J.Pharmacol.104. 847-852 (1991)
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[Publications] Hiroo Itoh: "Contractile actions of endothelinー1 in isolated helical strips from rat pulmonary artery: Potentiation of serotoninーinduced contraction." J.Cardiovasc.Pharmacol.
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[Publications] 樋口 治之: "細胞外Ca^<2+>非存在下におけるエンドセリンー1のラット胸部大動脈に対する血管収縮" 三重医学. 35. (1992)