1992 Fiscal Year Annual Research Report
培養内皮細胞を用いた動脈硬化発症・進展における血流の関与の解明
Project/Area Number |
03454254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田内 潤 大阪大学, 医学部, 助手 (20197544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (30028401)
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学部, 助教授 (80150340)
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
増山 理 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 培養血管内皮細胞 / ずり応力 / 酸化的ストレス / Mn-SOD |
Research Abstract |
動脈硬化の発症・進展に対する血流の影響を解明するため、昨年度の研究において我々は安定した培養血管内皮細胞の系を確立し、また特殊チェンバーおよびターンテーブルを用いて培養血管内皮細胞にずり応力を負荷する装置を作成した。一方最近、血管内皮細胞は血流負荷が不十分な状態(低ずり応力)では機能的分化が不十分となり様々なストレス状態に対する防御機構の破綻をきたす事が言われており、動脈硬化の進展過程において過酸化脂質などによる酸化的ストレスに対する内皮細胞の抵抗性が重要な役割を担っているとされている。そこで本年度は、ずり応力負荷に対する血管内皮細胞の抵抗性の検討を行なうため以下の実験を行なった。培養血管内皮細胞はヒト臍帯静脈より得、形態および蛍光染色により同定した。ずり応力負荷装置は昨年度開発した装置を用い、様々なずり応力負荷下での血管内皮細胞の酸化的ストレスに対する抵抗性の評価を試みるため細胞内抗酸化酵素の一つであるマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)の内皮細胞内の蛋白誘導量を測定した。ずり応力負荷により内皮細胞の形態は敷石状から紡錘状へと変化し、その長軸方向はずり応力方向へと変化した。24時間のずり応力負荷で血管内皮細胞のMn-SOD含量は一定レベルのずり応力までその強さに応じて増加した。このことより血管内皮細胞においてMn-SODが血流によるずり応力によって誘導され、低ずり応力部ではこの誘導がかからないため酸化的ストレスに対する抵抗性が低下し動脈硬化病変が生じやすい環境になっている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tanouchi,J et al: "Sequential appearance of fibronectin,collagen and elastin during fatty streak initiation and maturation in hyperchoresterolemicfetted-rabbits." Japanese Circulation Journal. 56. 649-656 (1992)