1991 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の分化と特異性獲得過程の解析による免疫異常症発症機序の解明
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03454261
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部・小児科, 教授 (60057502)
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Keywords | PreーT細胞 / 分化 / 重症複合免疫不全症 / B細胞 / 培養株化細胞 |
Research Abstract |
小児の非ホジキンリンパ腫から細胞株を樹立し、それはCD34・CD2・CD5を持つがCD4・CD8を持たず、原形質にCD3が存在し、T細胞レセプタ-遺伝子の再編成が存在するところからPreーT細胞の分化段階に位置づけられる細胞と考えられた。この細胞はインタ-ロイキン(IL)ー4に反応して増殖し、ILー2によって多少増殖した後に死滅するという性質を有し、それはマウスにおける胸腺内PreーT細胞に一致するものであった。この胸腺内PreーT細胞相当のリンパ球が、さまざまのサイトカインやストロ-マ細胞の存在によって、どのような条件でより成熟したT細胞に分化できるか、リンパ球系以外の細胞に分化する能力を残しているかを検討中であるが、造血サイトカインによってリンパ系以外の細胞への分化の徴候がうかがわれ、マウスではPreーT細胞はB細胞系などリンパ球系内での他方向への分化の変化を起しうるが、骨髄系には分化しえないという所見と異なるものであり、更に検討を進めている。T・B両細胞系の分化に欠陥がある重症複合免疫不全症では免疫グロブリンとT細胞レセプタ-と両方の遺伝子の再編成にかかわる共通の因子の欠陥が考えられている。健康人幹細胞を移植した本症患者の末梢血からEBウイルス感染によりB細胞系培養株を樹立した。移植前の株と移植後の株の免疫グロブリン遺伝子について多様性がどのように異なるか検討中である。このことにより本症のリンパ球の欠陥がB細胞自身の内因的なものか、B細胞分化のための環境要因によるかが明らかにされると考えている。T細胞がTh1型のサイトカインを産生するかTh2型のサイトカインを産生するかはどのような免疫応答が誘導されるかの鍵になる。T細胞を刺激する物質の種類によって誘導されるサイトカインに相違が生じる知見をえている。PSKはILー2産生を誘導しやすい。細胞性免疫と抗体応答とどちらが生じやすいか、抗原物質の性状により影響されると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nagasawa,M.,Okawa,H.,Yata,J.: "A B cell line from a patient with pure red cell aplasia produces an immunoglobulin that suppresses erythropoiesis." Clinical Immunology and Immunopathology. 61. 18-28 (1991)
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[Publications] Nagasawa,M.,Morio,T.,Takagi,S.and Yata,J.: "Generation and function of γδT cells after allogeneic bone marrow transplantation in humans:Comparison in absence or presence of HLAーmatched or mismatched thymus." Acta Paediatrica Japonica. 33. 146-158 (1991)
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[Publications] Nagasawa,M.,Ohshiba,A.,A.and Yata,J.: "Effect of recombinant interleukin 5 on the generation of cytotoxic T cells (CTL)" Cellular Immunology. 133. 317-326 (1991)
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[Publications] Ohshiba,A.and Yata,J.: "Increase of ovalbumin (OVA)ーspecific B cells in the peripheral blood of eggーallergic patients." Journal of Allergy and Clinical Immunology. 87. 729-736 (1991)