cーkitリガンドを用いたマウス,ヒト肥満細胞の大量培養法の確立とその応用

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03454262
• Research Institution: Shinshu University
• Principal Investigator: 中畑 龍俊 信州大学, 医学部, 助教授 (20110744)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 天野 芳郎 信州大学, 医学部, 助手 (00212572) ; 小池 健一 信州大学, 医学部, 講師 (40143979)
• Keywords: 肥満細胞 / マウス / ヒト / cーkit リガンド / ILー3 / ILー4 / 肥満細胞コロニ- / 大量培養

Research Abstract

1.マウス腹腔肥満細胞(CTMC)を培養し,その増殖・分化に対するcーkitリガンドの作用をILー3,ILー4などと比較検討した。cーkitリガンド存在下で95%以上のCTMCは増殖しコロニ-を形成したが,ILー3+ILー4存在下では約30%しかコロニ-を形成しなかった。純化したCTMの検討では,cーkitリガンドのみでは増殖できず,ILー3,GMーCSFなどのsynergistic factorが必要であった。
2.cーkitリガンド,ILー1,ILー3,ILー4,ILー6,ILー7,ILー9,ILー11,GMーcsF,MーcsFなどのサイトカインの組み合せ実験では,cーkitリガンドをILー3の両者の存在下でCTMCは最も増殖したが,肥満細胞の性質が粘膜型に転換する傾向がみられた。
3.購入したO_2CO_2培養器および連続細胞培養制御装置を用いてマウス肥満細胞の大量培養が可能となった。
4.ヒト骨髄.未梢血から各種モノクロ-ナル抗体を用いて造血幹細胞を純化し,in vitroコロニ-法により,造血幹細胞→肥満細胞への増殖,分化に及ぼすcーkitリガンドおよび他のサイトカインの作用を検討した。純化CD34^+細胞はcーkitリガンドおよび他のサイトカイン存在下で肥満細胞コロニ-を形成しなかった。
5.液体培養系では,ヒト臍帯血単核球より,cーkitリガンド存在下で少数の肥満細胞が土現した。
今後,さらなる培養法の改良がヒト肥満細胞の大量培養の確立には必要であることが判明した。

Research Products

• [Publications] Naganuma K.,Koike K.,Nakahata T.: "Requirement of both interleukin 3 and interleukin 6 for the growth of primitive hemopoietic progenitors." Inter.J.Hematol.54. 273-279 (1991)
• [Publications] Ishiguro A.,Nakahata T.,koike K.,Yoshida H.,Shimbo T.,Komiyama A.: "Induction of granulocyte and granulocyteーmacrophage colonyーstimulating factor from human monocytes stimulated by Fc fragments of human IgG." Brit.J.Haematol.79. 14-21 (1991)
• [Publications] Agematsu K.,Takeuchi S.,Ichikawa M.,Yabuhara A.,Uehara Y.,Kawai H.,Miyagawa Y.,Ishii K.,Katsuyama T.,Nakahata T.Komiyama A.: "Spontaneous production of interleukinー6 by KIー1ーpositive largeーcell anaplastic lymphoma with extensive bone destruction." Blood. 77. 2299-2301 (1991)
• [Publications] Imai T.,Koike K.,Kubo T.,Kikuchi T.,Amano Y.,Takagi M.,Okumura N.,Nakahata T.: "Interleukinー6 supports human megakaryocytic proliferation and differentiation in vitro." Blood. 78. 1969-1974 (1991)
• [Publications] Takagi M.,Nakahata T.,Kubo T.,Shiohara M.,Koike K.,Miyajima A.,Arai K.,Nishikawa S.,Zsebo K.M.,Komiyama A.: "Stimulation of mouse connective tissueーtype mast cells by hematopoietic stem cell factor,a ligand for the cーkit receptor." J.Immunol.(1992)
• [Publications] Okumura N.,Tsuji K.,Nakahata T.: "Change in cell surface antigen expression during proliferation and differentiation of human erythroid progenitors." Blood. (1992)
• [Publications] 中畑 龍俊: "血液幹細胞の培養法とサイトカイン." 検査と技術. 19. 95-104 (1991)
• [Publications] 上田 一博,塙 嘉之,高久 文麿,浅野 茂隆,月本 一郎,土田 昌宏,佐藤 武幸,大平 睦郎,星 順隆,西平 浩一,中畑 龍俊,秋山 祐一,今宿 晋作,櫻井 實,宮崎 澄男,内海 治郎,古川 利温,花田 尚,渋谷 温,山本 圭子,麦島 秀雄,伊藤 敦,植田 穣,矢田 純一,中沢 真平,小西 省三郎,多和 昭雄,筒井 盂: "小児期好中球減少症に対する遺伝子組み換え型ヒト顆粒球コロニ-刺激因子(rGーCSF)の臨床的検討." 臨床血液. 32. 212-220 (1991)
• [Publications] 天野 芳郎,中畑 龍俊,塩原 正明,上松 一永,落合 二葉,小宮山 淳: "C型肝炎を合併していた急性非リンパ性白血病症例に対する骨髄移植." 臨床血液. 32. 903-908 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊,高木 峰生: "造血幹細胞のホ-ミングレセプタ-." 血液・腫瘍科. 22. 572-577 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊,上松 一永: "重症肺炎を合併した重症再生不良性貧血に対する骨髄移植でGーCSFがきわめて有効であった症例." 治療学. 25. 125-127 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊:"造血幹細胞の増殖制御とサイトカイン." 癌と化学療法. 18. 1235-1242 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊: "造血幹細胞の自己複製とその応用." 医学のあゆみ. 156. 572-576 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊: "GーCSFと先天性好中球減少症." 日常診療と血液. 1. 56-62 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊: "造血細胞の試験管内増殖." 今日の移植. 4. 23-29 (1991)
• [Publications] 中村 友彦,松岡 高史,馬場 淳,田中 昌明,津野 隆久,小池 健一,中畑 龍俊,小宮山 淳: "未熟児貧血に対するリコンビナント・ヒト・エリスロポエチンの臨床効果." 日児誌. 95. 1105-1109 (1991)
• [Publications] 石黒 精,中畑 龍俊,小池 健一,吉田 英明,新保 敏和: "ヒト単球によるGーCSF,GMーCSFの産生:ヒトIgGによる誘導." Biotherapy. 5. 1028-1032 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊,高木 峰生: "マスト細胞とサイトカイン." 臨床免疫. 23. 943-952 (1991)
• [Publications] 池野 一秀,中畑 龍俊,山崎 崇志,今井 寿郎,菊池 俊実,天野 芳郎,小宮山 淳: "rhGMーCSFを使用した重症再生不良性貧血の骨髄移植例." 日小血会誌. 5. 182-188 (1991)
• [Publications] 木村 哲,島田 馨,山中 正己,松田 重三,宮園 浩平,藤巻 道男,羽田 雅夫,大久保 隆男,伊藤 章,赤羽 太郎,中畑 龍俊,南谷 幹夫,塩川 優一,高久 文麿: "HIV感染者児おける白血球減少症および二次感染症に対するKRN8601(rhGーCSF)の臨床成績." エイズジャ-ナル. 3. 213-221 (1991)
• [Publications] 中村 友彦,馬場 淳,津野 隆久,松岡 高史,中畑 龍俊: "未熟児貧血のリコンビナント・ヒト・エリスロポエチンの治療経験." NICU. 4. 52-56 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊,久保 徹夫: "サイトカインの臨床応用." 小児科臨床. 44. 3273-3280 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊;三浦 恭定(編): "ILー4,造血因子研究の潮流" 中外医学社,東京, 145-159 (1991)
• [Publications] 中畑 龍俊:浦部 晶夫(編): "多能性造血幹細胞の分化機構 血液細胞の分化と増殖" メジカルレビュ-社,東京, 6-15 (1991)