1993 Fiscal Year Annual Research Report
^<31>P-MRSによる培養神経芽腫細胞の代謝に関する研究
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03454268
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
沢田 淳 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079874)
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Keywords | ^<31>P-MRS / ホローファイバー / 灌流培養 / PME / PCr / リン含有代謝物質 / 代謝 / 増殖 |
Research Abstract |
生きた神経芽腫細胞の^<31>P-MRS(maghetic resonance spectroscopy)スペクトル測定のために、中空糸培養用ホローファイバーを用いて、灌流培養系を確立した。得られたスペクトルでは、PMEピーク(phosphomonoester)は高くPCrピーク(phosphocreatine)は認められず、腫瘍組織のin vivoのスペクトルと同様の傾向であった。外因性のグルコサミンとウリジンが代謝に及ぼす影響を、検討したところDPDE(diphosphodiester)ピークの増加を認めた。本系は培養神経芽腫細胞のリン含有代謝物質の変化を検討するうえで有用であることが示された。またDPDEは最近、分化との関連性が報告されている。本結果は神経芽腫におけるDPDEはUDP-N-アセチルグルコサミンよりなることを示唆する。つぎにクレアチンの類似体であるサイクロクレアチン(Cyclocreatine:CCr)の作用について検討した。CCrにより細胞の増殖は抑制される。負荷によりサイクロクレアチンリン酸(phosphoryl-cyclocreatine:CCr-P)ピークの出現,増加を認めた。CCrが細胞内でリン酸化されて、CCr-Pが合成され蓄積することが示唆された。またPMEピークは減少の傾向であった。 腫瘍の高いPMEは増殖性と関連する。低いPCrはエネルギーバッファーが少ないことを示す。腫瘍では異常な増殖と関連して、hith energy demandの状態にあることが示唆されている。本系は神経芽腫の増殖と代謝についての検討に有用であると考えられる。本研究はエネルギー代謝の立場から神経芽腫の生物学的特性についての示唆を与えるものと考える。また腫瘍に対する^<31>P-MRS法の臨床応用として、PMEピークが腫瘍増殖のマーカーとなる可能性が示唆された。
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[Publications] 四方卓磨、他: "ホローファイバーを用いた灌流培養法による生きた神経芽腫細胞の^<31>P-MRS" 医学のあゆみ. 166. 623-624 (1993)
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[Publications] 沢田淳、他: "^<31>P-MRSによる培養神経芽腫細胞の代謝-ホローファイバー式培養法を用いて-" 厚生省がん研究「分子細胞遺伝学的情報からみた神経芽細胞腫の集学的治療に関する研究」平成3,4年度研究報告. 93-94 (1993)
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[Publications] 四方卓磨、他: "^<31>P-MRSによる培養神経芽腫細胞の代謝に関する検討:ホローファイバー式培養方法を用いて" 日本小児科学会雑誌(第96回日本小児科学会学術集会号). 97. 413 (1993)
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[Publications] 四方卓磨、他: "^<31>P-NMR Spectroscopyによる培養神経芽腫細胞の代謝" 日本小児外科学会雑誌(第30会日本小児外科学会総会日程抄録). 29. 215 (1993)
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[Publications] 四方卓磨、他: "ホローファイバー式培養法による行きた神経芽腫細胞の^<31>P-MRS" 日本磁気共鳴医学会雑誌(第21会日本磁気共鳴医学会大会講演抄録集). 13. 481 (1993)
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[Publications] A Shikata,et al.: "Increased expression of trk proto-oncogene by gamma-interferon in human neuroblastoma cell lines" Japanese Journal of Cancer Research. 85. 122-126 (1994)