1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト表皮細胞および線維芽細胞の増殖・分化における各種細胞成長因子の作用機序の分析
Project/Area Number |
03454273
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Research Institution | Osasa University |
Principal Investigator |
吉川 邦彦 大阪大学, 医学部, 教授 (20110851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 敏一 大阪大学, 医学部, 教授 (00049397)
東山 真里 大阪大学, 医学部, 助手 (40228713)
橋本 公二 大阪大学, 医学部, 助教授 (00110784)
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Keywords | HB-EGF / 表皮ケラチノサイト / TGF-α / Amphiregulin / 尋常性乾癬 / TGF-β / EGFファミリー / 無血清培養 |
Research Abstract |
EGFファミリーに属する細胞成長因子であるTGF-αおよびアンフィレグリンが表皮ケラチノサイトのオートクリン因子であることが報告されている。HB-EGFは新たに発見されたEGFファミリーに属する細胞成長因子である。そこで、HB-EGFが表皮ケラチノサイトのオートクリン因子であるかどうかを検討した。リコンビナントHB-EGFを培養上清に添加したところ、1ng/mlで約1.8倍の増殖刺激が認められた。一方、表皮ケラチノサイトの培養上清よりヘパリンカラムを用いて、部分精製を行い、ウエスターンブロットで検討したところ、HB-EGFの存在が確認された。また、ノーザンブロットでHB-EGF mRNAの存在が確認された。さらに、HB-EGFの添加でHB-EGF mRNAの増加が誘導されるのみならず、TGF-αのmRNAの増加も認められた。興味深いことに、TGF-αの添加でHB-EGFおよびTGF-αのmRNAの増加が誘導された。これらの結果は、TGF-α、アンフィレグリンおよびHB-EGFが表皮ケラチノサイトのオートクリン細胞成長因子として重要な働きを持つと同時に、互いに、その増加を誘導しうることより、これらが極めて効率的な増殖増幅作用をもつこと示している。HB-EGFの皮膚における局在を免疫組織化学的に検討したところ、表皮全層、毛嚢、皮脂腺、汗腺、血管に存在することが明らかになった。一方、昨年度の報告で、TGF-βのisoformの局在を免疫組織化学的に検討し、TGF-β2が表皮全層に存在することを明らかにした。本年は、尋常性乾癬におけるTGF-βのisoformの局在を検討したところ、尋常性乾癬の病変部、即ち、表皮肥厚部ではTGF-β2の染色が減弱していることが認められた。これは尋常性乾癬における増殖抑制作用の低下を示唆するものではないかと考えられる。
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[Publications] 小林照明、羽白誠、橋本公二、吉川邦彦: "ケラチノサイトの増殖調節 増殖関連蛋白-癌遺伝子,癌抑制遺伝子とその遺伝子産物について-" 日本皮膚科学会雑誌. 103. 1610-1613 (1993)
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[Publications] 橋本公二、東山真里、金田真理、吉川邦彦: "表皮細胞に関する細胞成長因子と受容体" 皮膚科の臨床. 35. 1363-1369 (1993)
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[Publications] Teruaki Kobayashi,Koji Hashimoto,Kunihiko Yoshikawa: "Growth Inhibition of Human Keratinocytes by 1,25-Dihyroxyvitamin D_3 is Linked to Dephosphorylation of Retinoblastoma Gene Product" Biochemical and Biophysical Research Communications. 196. 487-493 (1993)
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[Publications] Teruaki Kobayashi,Kunihiko Yoshikawa,et.al.: "Analysis of Interleukin 6 Receptor Normal Human Keratinocytes by Digital Imaging Fluorescence Microscopy" The Journal of Dermatology. 20. 585-587 (1993)