1993 Fiscal Year Annual Research Report
デキストラン複合磁性体を用いる超選択的温熱療法の研究
Project/Area Number |
03454299
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Research Institution | Toyama Medical & Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田沢 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (80018887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 哲朗 富山医科薬科大学, 医学部, 助手
竹森 繁 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30227061)
前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30143861)
本田 昂 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (40019914)
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Keywords | 誘導加温 / RF加温 / 超選択的温熱療法 / インプラント加温 / 併用療法 / デキストランマグネタイト粒子 / VX-2腫瘍 / Meth-A腫瘍 |
Research Abstract |
癌細胞に対する温熱療法の現在の方法は,外部より熱を加える受身的・消極的温熱療法である.新しい積極的な温熱療法として,デキストラン複合磁性体を開発し,これを用いた細胞内加温を提唱し報告してきた.デキストラン複合磁性体は,生体親和性多糖デキストランと磁性酸化鉄との超微粒子複合体である.今回の目的はデキストラン複合磁性体を用いて,細胞内加温法において示された顕著な効果を基に,実際の臨床応用への可能性をはかることであった.前年度までに,臨床における誘導温熱療法では高出力装置と細かい温度設定が必要であるため,加温装置の改良と統合型コントロールのためのコンピューター・プログラミングを行った.家兎VX-2腫瘍を用いて腸管,膀胱,肝腫瘍モデルを考案し,実際に加温を行い良好に加温された.抗癌剤の併用実験において併用効果の有用性が認められた.今年度の研究では,臨床応用に先立ち,以下の実験を行った.1)前年度に引続き,臓器モデル腫瘍の治療を行い,その治療効果について検討を行った.その結果,膀胱,肝腫瘍モデルの加温群において,腫瘍の消失・縮小は認めなかったものの腫瘍の増大抑制効果が認められた.腸管腫瘍では抑制効果は認められなかった.2)デキストラン複合磁性体と抗癌剤の結合については薬剤の活性の低下の問題点を有しているため,前年度に引続き,BALB/CマウスのMeth-A腫瘍細胞を用いて,デキストラン複合磁性体による温熱効果と抗癌剤の併用による治療効果を検討した.その結果,温熱・抗癌剤併用群において温熱単独群,無治療群と比較してBALB/Cマウスの生存期間の延長を認め,併用効果の有用性が認められた.しかしその効果は不十分であり,今後さらに大型の動物モデルでの検討を必要とした.3)新しい深部臓器加温法として磁性体封入体による加温法を開発し,その加温特性を検討した.
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