1991 Fiscal Year Annual Research Report
母体に対する経腸栄養および完全静脈栄養が胎児肝へ及ぼす影響
Project/Area Number |
03454304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30083356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 則利 九州大学, 医学部, 講師 (00173104)
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Keywords | 完全静脈栄養 / 肝機能障害 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
妊娠ウサギの母体の高カロリ-負荷に関しては、飼料の脂肪含量の操作により通常群と高カロリ-群に分け、胎児に対する影響を一般肝機能や肝組織中の抗酸化酵素の測定により評価した。しかし二群間に有意な差は認められなかった。妊娠ウサギは神経質で飼料の変化に敏感であり、予想していた摂取量を得られなかったため、十分なカロリ-負荷とならず、モデルとして不適切であった可能性がある。十分なカロリ-負荷のモデルとして経静脈栄養実験の必要性を痛感したが、妊娠ウサギはストレスに弱いため流産しやすく、これまで十分なデ-タが得られていない。 一方、諸家の報告にて胎児ではSOD、GSHーPx等のフリ-ラジカル消去酵素の活性が低く、出生後に速やかに誘導されていくことが明らかにされているが、新生児でこのような酵素ストレスに対する防御系が発達していないことと、新生児で完全静脈栄養(以下PN)を開始すると肝障害が起こりやすいこととはなんらかの関連があるようにも考えられる。しかしPN時に於ける肝障害にフリ-ラジカルや脂質の過酸化反応が関与しているかどうかという点に付いては、いまだ十分に明らかにされていない。そこで我々は、帝王切開によって得られた新生仔ウサギに8日間完全絶食下でPNを行い、高カロリ-負荷によるPN肝障害モデルの作成を試み、肝の過酸化脂質や肝組織中SOD活性等のフリ-ラジカル消去酵素活性を通常カロリ-のPN群との間で比較した。その結果、高カロリ-PN群では肝過酸化脂質は有意差を認めないものの高値をとる傾向を認めたが、肝組織中SOD活性には有意な変化を認めなかった。いまだモデルの個体間のばらつきが多く、今後さらに安定したモデルの確立にむけ輸液内容、輸液システム等を検討中である。
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[Publications] 水田 祥代: "新生児外科における栄養管理" 日本新生児学会雑誌. 27. 1-7 (1991)
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[Publications] 水田 祥代: "腹壁異常の周産期管理" 小児外科. 23. 731-736 (1991)
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[Publications] 水田 祥代: "未熟児・極小未熟児における静脈・経腸栄養" 日本臨床. 49. 671-678 (1991)
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[Publications] Sachiyo Suita: "Zinc Metabolism During Parenteral Nutrition in Children with Solid Malignant Tumors" The Journal of Trace Elements in Experimental Medicine. 4. 51-59 (1991)
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[Publications] 水田 祥代: "新生児における手術と輸液管理" JJPEN. 13. 27-31 (1991)
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[Publications] 飯田 則利: "体液欠乏量の求め方" medicina. 28. 952-954 (1991)
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[Publications] 水田 祥代: "新外科学体系「輸液療法」" 中山書店, 255-290 (1991)
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[Publications] 水田 祥代: "今日の治療指針「肥厚性幽門狭窄症」" 医学書院, 716-717 (1992)