1992 Fiscal Year Annual Research Report
集束超音波を利用した癌焼灼治療装置の開発とその基礎的検討
Project/Area Number |
03454309
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石岡 邦明 帝京大学, 医学部, 講師 (40082250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安河内 浩 帝京大学, 医学部, 教授 (70174505)
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Keywords | 集束超音波 / 癌治療 / 焼灼治療 / 装置開発 / 音場分布 / 温熱 |
Research Abstract |
試作した集束超音波加温装置を用い、前年度に実験した軟部組織等価寒天ファントムに代え、プレスハムに対する加温実験を試みた。初めに、用いる資料用ハムの超音波特性として超音波減衰定数並びに、音速の測定を行った。結果は、生体軟部組織と比較的近似した値を示した。このハムを用い超音波放射軸平面及び、垂直断面に対する加温分布を赤外線カメラにて観察した。加温に当り、各超音波束の位相をΟ(同相)、π(逆相)の2条件について超音波を放射した。結果は平面、垂直断面の双方で、位相πの条件の方が位相Οのものに比べて広い加温域を形成するサーモグラムを得た。この結果は、コンピュータシミュレーションの結果並びに、寒天ファントムでの結果とほぼ一致していた。この事は各超音波の位相を変えることにより多少加温域を調節し得る可能性を示している。しかし平面での分布において、焦点より浅い領域で、個々の超音波ビームに相応した加温も認められた。しかしこの発熱は、焦点での発熱に比べて低く、大きな問題にはならないであろうと考えられる。次に、温度上昇の時間的変化の様相を測定し、目的とする部域の加温が可能であるという結果を得た。今回の一連のハム実験で、超音波強度とは無関係に高温となる部域が認められ、これはハム内で一見して認められる密な線維性成分の局在と常に一致していた。これはハムの不均一性に起因するもので、この事は今後、生体を加温する際に多少の影響をもたらせるかもしれない事を示唆しており、十分に注意する必要があろうと思われる。 現在、家兎大腿筋に対する加温を試みているが、目的とする筋肉内での発熱と共に、筋外の皮膚での著しい発熱も起っているようである。この理由として、ヒトの皮膚に比べ家兎の皮膚が比較的厚く、かつ硬い(線維性)為に、超音波吸収が強く起るのではないかと考えている。
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