1993 Fiscal Year Annual Research Report
集束超音波を利用した癌焼灼治療装置の開発とその基礎的検討
Project/Area Number |
03454309
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石岡 邦明 帝京大学, 医学部, 講師 (40082250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安河内 浩 帝京大学, 医学部, 教授 (70174505)
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Keywords | 集束超音波 / 癌治療 / 焼灼治療 / 装置開発 / 温熱療法 |
Research Abstract |
ファントム実験による昨年の知見に基づき、本年度は血流のある家兎太腿、及び担癌太腿(VX-2腫瘍移植)を用いて温度上昇のタイムコースを得ることや、組織学的影響に対する検討を行った。 家兎の正常太腿、及び担癌太腿の双方とも、幾何学的超音波収束部での温度上昇を認めた。ところが超音波入射部皮下、反対側皮下に於いても著しい発熱を示した。この皮下での発熱は、皮膚と筋肉という物性の異なる境界で超音波吸収が多くなるという超音波特性に基ずくものと考えられる。また家兎の皮膚は人間に比べ厚くその傾向が著しい事と、加温太腿筋部の厚みが薄過ぎる為に焦点近傍の皮下に対し幾何学的に強力な超音波が作用し発熱が生じるものと考えられる。もし加温目的部位がより深部にある場合には、皮下に付与される超音波エネルギーが低くなるこの発熱は減少するものと考えられる。場合によっては皮膚表面の冷却を配慮する必要があろう。集束超音波の組織学的影響の結果は、45℃、5分間の処置では処置1時間後の軟部組織、及び血管、神経に対しての変化は認められなかった。これに対して50℃、5分間の処置では軟部組織の炎症的変化、毛細血管からの血液の漏出が一部認められた。しかし、比較的太い血管では明確な変化は観察されなかった。これは血流による熱の拡散が起こる為かと考えられる。また神経に対しても明確な変化は認められなかった。しかし、今回は家兎を用いた為、先記の理由などにより、安定した加温を得ることが難しく、組織学的影響の詳細なデータを得るに至らなかった。今後、加温の安定化を計り、諸種の加温条件(温度、時間)、処置後の経時的な変化を観察することにより焼灼治療の為の最適条件を決定することが今後の課題となるであろう。 我々が世界で初めて試みた新しいモダリティーによる癌治療法の今後の展開が期待されるものと考えている。
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Research Products
(1 results)