1991 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における癌遺伝子・癌抑制遺伝子の発現を利用した診断並びに治療法の開発
Project/Area Number |
03454317
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
馬場 正三 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40107818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 勝彦 浜松医科大学, 医学部, 助手 (50217642)
荻原 裕之 浜松医科大学, 医学部, 講師 (30128475)
藤田 直也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60014031)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / PCC遺伝子 / 抗P53抗体 / 抗DCC抗体 |
Research Abstract |
本年度我々は,大腸癌の癌抑制遺伝子といわれているDCC遺伝子のアミノ酸配列を解析し,抗原性の高いと思われる部位に対して,抗DCC抗体を作製している。さらに,これらの抗体を使って大腸癌組織に対して免疫組織染色を行った。 まず,DCC遺伝子のアミノ酸配列上抗原性の高い部位5ヶ所の20〜21アミノ酸に対する合成ペプチドを作製し,マ-ドマウスに接種し,ポリクロ-ナル抗体を作製した。さらに,これらの抗体より5種類のモノクロ-ナル抗体を精製した。そして,抗DCC抗体による大腸癌の免疫組織染色を行った。材料は,大腸癌手術症例30例の,正常大腸粘膜及び,大腸癌組織である。抗体はDCCー1〜DCCー5の5種類を用い,PAP染色を行った。 その結果,DCCー1,DCCー3では染色性は弱く,DCCー4で最も染色性が強くみられた。また,DCCー2,DCCー5では染色性に偏在がみられ,DCCー4に比べると正常組織における染色性も弱く,大腸癌組織のなかでも部分的に強く染まる部位が認められた。 以上の結果より,抗DCC抗体DCCー2,DCCー5は大腸癌組織特異的に染色される傾向があり,大腸癌の特異的な抗体として得られる可能性が高いと思われる。今後は症例数を増し,これらの抗体による染色を行ない腺腫における染色も行ない,大腸癌と腺腫との境界病変の検討も行う予定である。 P53に関しては市販のNovocastra社のモノクロ-ナル抗体を用い,免疫組織化学的染色を行なう一方,正常粘膜と腫瘍部におけるP53の欠失の検討を行っている。 進行大腸癌16病巣/29例(55.2%)はP53抗体による染色の結果,陽性所見を得た。なお腺管腺腫には陽性例を認めなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] I・Nishishyo: "Mutations of Chromosome 5921 Genes in FAP and Colorectal Cancer Patients." Science. 253. 665-669 (1991)
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[Publications] K・W・Kinzler: "Identification of FAP Locus Genes from Chromosome 5921" Science. 253. 661-665 (1991)