1991 Fiscal Year Annual Research Report
新生食道の再生を目指した細胞組み込みハイブリッド型人工食道の実験的研究
Project/Area Number |
03454320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 慶彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00027111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達雄 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (70227908)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Keywords | コラ-ゲン / 人工食道 / シリコ-ン / 自己口腔粘膜 / ハイブリッド型人工臓器 |
Research Abstract |
我々は組織親和性が良く、自己組織の再生修復を促す作用のあるコラ-ゲンとシリコ-ンを複合化した人工食道を開発した。この新しい人工食道を用いると、これまでの人工食道にみられた早期合併症である自己食道と人工材料との間に生じる縫合不全や新生食道に生じる感染がほぼ防止できるようになった。このことは第13回日本バイオマテリアル学会で報告した。これまでの実験によると、シリコ-ンチュ-ブ脱落後、新生食道に急速に狭窄が生じ経口摂取が不能となることが判明した。我々は最後に残されたシリコ-ンチュ-ブ脱落後の狭窄を予防するためには新生食道の上皮化を早期に完成させるべきであると考えた。我々は自己口腔粘膜を培養しコラ-ゲンスポンジ内に導入するハイブリット型人工食道の作製を試みこれに成功した。このハイブリッド型人工食道を用いて頚部食道を置換することによって、細胞を組み込んでいない人工食道に比べて食道粘膜上皮を有する新生食道をより早く再生させることに成功した。しかし、新生食道の上皮化を早期に成し遂げても、これを支持する粘膜下組織の強度が不十分なためシリコンチュ-ブが脱落した後、新生食道に狭窄が生じ経口摂取が不可能となることがわかった。そこで非吸収糸によって自己食道とシリコンチュ-ブを結紮し、細胞外マトリックスを十分に完成させた後、内視鏡下にて結紮糸を随時切断しシリコ-ンチュ-ブを脱落させる方法を確立した。この方法によって、4週間以上シリコ-ンチュ-ブを保持したところ、シリコ-ンチュ-ブを脱落させる前に生じる軽度の狭窄を除いて、シリコ-ンチュ-ブ脱落後に狭窄は進行せず全例経口摂取可能となった。このことにより、十分に粘膜下組織を完成させることにより狭窄を予防しうることがわかった。シリコ-ンチュ-ブ脱落前にしばしば生じる口側の狭窄を解決することにより合併症のない人工食道が完成すると思われる。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 池 修: "自己組織の再生を目的とした人工食道の検討" 日本胸部外科学会雑誌. 38. 365 (1990)
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[Publications] OSAMU IKE: "Neoesophageal epithelization on an artificial esophagus with collagen layer structure" Advannces in Biomaterials. 9. 621-626 (1990)
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[Publications] 池 修: "自己粘膜細胞の播種を併用したコラ-ゲンを用いた人工食道の検討" 人工臓器. 19(3). 1169-1172 (1990)
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[Publications] 夏目 徹: "再構成線維化コラ-ゲンと細胞との相互作用" 日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 26 (1990)
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[Publications] 夏目 徹: "自己組織を誘導するコラ-ゲン人工食道の組織学的研究" 日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 67 (1991)
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[Publications] 滝本 行延: "Polye the lene フィルムの腫瘍原性とCollagen被覆による抑制効果" 日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 82 (1991)
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[Publications] 夏目 徹: "コラ-ゲンの臨床応用" 日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 36 (1991)
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[Publications] 夏目 徹: "モノマ-・オリゴマ-コラ-ゲン上での細胞機能" 日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 61 (1991)
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[Publications] TOORU NATSUME: "Experimental Study of a Hybrid Artificial Esophagus Combcned with Autologus Mucosal Cells" ASIO TRANSACTIONS. 36. 435-437 (1990)