1992 Fiscal Year Annual Research Report
新生食道の再生を目指した細胞組み込みハイブリッド型人工食道の実験的研究
Project/Area Number |
03454320
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 慶彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00027111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達雄 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (70227908)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Keywords | 人工食道 / コラーゲン / ハイブリッド型人工臓器 / 長期成績 / 平滑筋 / 腺組織 / 組織再生 |
Research Abstract |
我々は管状にしたシリコーンの外側をコラーゲンスポンジで覆ったものを人工食道として用いてきた。この人工食道を用いることによって早期合併症である感染、縫合不全をほぼ克服することができた。しかし、完全な粘膜再生が得られた後もシリコーンチューブ脱落後に狭窄が進行するという問題が残された。これまでの実験によると、術後狭窄は粘膜再生が完成するまでの期間によるものではなく、粘膜下組織の完成度によることが判明した。つまり術後4週間以上、シリコーンステントを保持すると、シリコーンステント脱落後の狭窄は生じず長期にわたって経口摂取が可能となった。長期生存犬の食道造影を行ったところ、自己食道と同様のぜんどう運動が観察された。また一般的に新生食道の粘膜下組織には正常の筋組織や食道腺は再生されないとされていたが、長期生存犬の新生食道を組織学的に検討したところ、新生食道においてもほぼ正常の筋組織や腺組織が認められ、筋組織が再生することを確認した。このことにより我々の開発した人工食道を得ることによって、生理学的にも組織学的にもほぼ正常な再生食道を得ることができると考えられた。現在5cmを人工食道によって置換してきたが、今後、より長い人工食道による置換を試み臨床応用への検討を行い、さらに筋組織や腺組識がどのようにして再生されるかと言うメカニズムの解明を行っていく。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 浜島 博: "食道静脈瘤硬化剤Ethanolamine oleate(ED)の昇圧作用についての検討" 日本内科学会近畿地方会 予稿集. (1991)
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[Publications] 清水 慶彦: "外科領域におけるコラーゲンの応用" 繊維学会シンポジウム 予稿集. C114-118 (1992)
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[Publications] 清水 慶彦: "生体内吸収性材料の臨床応用" 創傷治癒研究会 予稿集. 9-16 (1992)
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[Publications] 滝本 行延: "コラーゲン・シリコーン人工食道におけるシリコーンステント留置期間と術後狭窄の関係についての検討" 日本胸部外科学会雑誌(臨時増刊号). 40. 1522- (1992)
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[Publications] Osamu Ike: "Experimental Studies on an Artifical Esophagus" World Biomaterials Congress.189- (1992)
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[Publications] 夏目 徹: "バイオマテリアルとしてのコラーゲン" 繊維学会シンポジウム予稿集. C122-124 (1992)
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[Publications] 夏目 徹: "バイオマテリアルとしてのコラーゲン" 生体材料. 10. 335-343 (1992)
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[Publications] Yukinobu Takimoto: "Long・Term Follow-up Study of Experimental Replacement of esphagus with a collagen-Silicone composite tube" ASAIO Abstracts. (1993)
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[Publications] 池 修: "コラーゲン・シリコーン複合体による人工食道の実験的研究" 病態生理. 10. 143-148 (1991)