1992 Fiscal Year Annual Research Report
肝分離潅流を用いた温熱療法および高濃度化学療法による肝癌の治療
Project/Area Number |
03454325
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中野 博重 奈良県立医科大学, 医学部・第一外科, 教授 (20075071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 敏幸 奈良県立医科大学, 医学部・第一外科, 助手 (50238458)
金廣 裕道 奈良県立医科大学, 医学部・第一外科, 助手 (30204580)
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部・第一外科, 助教授 (00142381)
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Keywords | 転移性肝癌 / 肝分離潅流 / 温熱療法 / 化学療法 |
Research Abstract |
体重10Kg前後のビーグル犬を用い、肝流入血行である肝動脈、門脈を遮断するとともに肝上部、肝下部下大静脈を遮断した。人工心肺を用いて酸素化した潅流液を門脈より肝にバイオポンプを用いて送血し、肝下部下大静脈より脱血することにより肝を分離潅流した。門脈、下大静脈遮断に対して、上大静脈との間に静脈バイパスを設置することにより全身循環を維持した。肝分離潅流回路に熱交換器を組み込み、潅流液を42℃まで上昇させ肝を30分間潅流した。16頭に対して検討したが、全例1週間以内に肝不全死した。組織学的に肝を検討したところ、原因はポンプ圧により肝微小循環が障害されたと診断し、潅流方法を落差潅流(70cmH20)に変更した。さらに、抗腫瘍効果の増強を期待して潅流液は無酸素化ラクテックリンゲル液とした。8頭に対して43℃、30分間潅流を行ったが肝不全例はなく肝機能も約2週間で正常範囲に回復した。さらに、潅流液中にマイトマイシンを10μg/m1加え肝および全身におよぼす影響について10頭に対して検討したところ、血液生化学検査において肝機能は一過性に障害を認めるものの約2週間で正常範囲に回復し、膵、腎、心、肺機能においては影響を認めなかった。組織学的検査では、肝、膵、腎とも術後2週間目の生検にて特に異常所見を認めなかった。以上より無酸素化肝分離潅流の安全性が確認され、新システムの確立が可能となった。
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