1991 Fiscal Year Annual Research Report
肛門括約筋機能失調例に対する機能賦与術式開発に関する研究
Project/Area Number |
03454326
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横山 穣太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80051407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70190197)
黒田 達夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60170130)
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Keywords | 直腸肛門内圧 / 筋電図 / 酵素組織化学 / 高位鎖肛 |
Research Abstract |
雑種成犬を用い肛門周囲に孤状切開を加え、ヒト肛門周囲に存在する外肛門括約筋,ならびに深部肛門括約筋,恥骨直腸筋に匹敵する各筋群を電気刺激にて確認し、不隨意筋であるが排便機能に重要な役割をもつ内肛門括約筋の存在を確認した。必ずしもヒト直腸肛門周囲筋群と全く同様ではないが,実験対象動物として使用に足るものであることを電気生理学的に確認した。更にネンブタ-ルによる浅い麻酔下に直腸肛門内圧を引き抜き法にて静止圧を測定した。ヒト肛門管圧にほぼ類似した肛門管圧を記録することができた。更に直腸壁をバル-ンで拡張させた際の肛門管圧の変動を測定したが、直腸壁膨隆刺激後,1〜2秒の潜時をへて肛門管圧は下降し,その後下降から上昇へと回復していった。同時に測定した肛門管律動波は、肛門管圧の下降と同時に消失し、肛門管圧が下降から上昇に転ずる時点で、肛門管律動波の再現を認めた。一方,内肛門括約筋筋電図は,双極電極を肛門皮膚線より刺入して直腸肛門内圧測定と同時に採取した。10mlの直腸伸展刺激により約2秒の潜時を経て,静止時に記録された肛門管律動波の消失に一致して内括約筋スパイクは一斉に消失し,肛門管内圧が下降から上昇へ回復する時点で内括約筋に振幅の小さい持続の長いスパイクがゆっくりあらわれ、これにともない内圧曲線上に肛門管律動波が表われ内圧は上昇し基線へ回復していく。以上肛門管律動波,内肛門括約筋筋電図のこれら一連の変動も以前ヒトで検索した結果に類似したパタ-ンを示した。そこで仙骨神経を脊髄の近くで切断し、2週以上経過した時点で,直腸肛門内圧,内肛門括約筋筋電図の変動を検索した。その結果、肛門管律動波の頻度の減少,内肛門括約筋スパイク抑制時間の延長,直腸肛門反射にあって反射回復相での内括約筋スパイクの時相の相違などを認めた。現在,仙骨神経切断前後における各括約筋筋群の酵素組織学的な変化を検索中である。
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