1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454330
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
神谷 喜八郎 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90111509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 修 山梨医科大学, 医学部, 助手 (90242643)
竹内 享 山梨医科大学, 医学部, 教授 (00020727)
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Keywords | 脊髓誘発電位 / F wave / 脊髓虚血 / 胸腹部大動脈瘤 / 対麻痺 / F-P complex / 脊髓前角細胞 / モニター |
Research Abstract |
1,イヌによる実験的研究 (1)脊髄虚血発生後25分前後でFPCが消失する比較的弱い脊髄虚血条件では、対麻痺を起こさない脊髄虚血時間はFPC消失後20〜25分と、強い虚血条件より5〜10分程度延長すると考えられる。 (2)FPCと体性感覚誘発電位(SEP)を比較すると、強い脊髄虚血条件ではFPCはSEPより1〜2分早く消失し、中等度の虚血条件ではFPCの消失はSEPのamplitudeの有意の低下より10分程度早くみられた。このことはFPCがSEPより鋭敏な脊髄虚血モニターとなりうることを示している。 2.臨床的検討 (1)一時バイパスあるいは部分体外循環(F-F bypass)を用いた胸部および胸腹部大動脈瘤手術13例にFPCモニタリングを施行した。大動脈遮断部の末梢血圧を60〜70umHg程度に維持し、vecuronium0.05mg/kg/hrで持続注入して直接の筋電位であるM波の波高を筋弛緩剤使用前の10〜20%に維持すれば、良好なFPCモニタリングが可能である。また、胸部持続硬膜外麻酔を併用いると、FPCモニタリングがより容易になる。 (2)脊髄虚血が発生すると、最初にFPCの出現頻度が減少し続いてFPCの消失がみられる。FPCの消失は7例に認められたが、そのうち、消失後1,2,13,19,29分で血流を再開しえた5例には、対麻痺は見られず、血流再開が、FPC消失後23分となった1例に不全対麻痺、また、大動脈遮断前に肋間動脈が切離され、その後術中、術後を通じてFPCが消失したまま経過した1例に完全対麻痺を経験した。完全対麻痺の1例を除く全例にFPCの再出現がみれらた。 (3)FPCモニタリング法はfalse negativeがなく、FPC消失後から血流再開まで20分間を安全域とすれば、false positiveも少ないので、極めてspecifityの高い対麻痺発生モニターと結論しうる。
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