1992 Fiscal Year Annual Research Report
大脳放射線照射による脳高次機能障害に関する基礎的研究ー痴呆モデル作製とその病態解析ー
Project/Area Number |
03454346
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 憲夫 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (20150302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
鷲山 和雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (00183715)
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Keywords | 放射線障害 / 水迷路 / 受動的回避学習 / 髄鞘形成障害 / オートラジオグラフィー / myelin basic protein / myelin-associated glycoprotein / glial fibrillary acidic protein |
Research Abstract |
1.慢性放射線障害モデルについて (1)生後6カ月のFischer 344ラットを照射群とコントロール群に分け照射群には頭部に5Gy×8回の分割照射を施行し、体重や行動の変化を観察した。 (2)照射後6、9、12カ月の時期にそれぞれ両群10匹ずつについてMorrisの水迷路と受動的回避学習の2つの課題を用いて高次機能障害の出現の有無を検討した。いずれの課題でも照射後6カ月では軽度の差であったが12カ月では明らかに照射ラットに障害が認められた。 (3)組織学的には、照射後1年まで、組織の壞死は認められず、HE染色KB染色等ではコントロールと明らかな差を認めなかったが、抗GFAP(glial fibrillary acidic protein)抗体による免疫染色でGFAP陽性の反応性アストロサイトの増加を認めた。 (4)照射後12カ月でABR、SEPなど電気生理学的検査を施行し、照射ラットで潜時の延長を認めた。 (5)照射後12カ月でオートラジオグラフィーにより糖代謝を検討し、照射ラットで糖代謝の低下を認めた。 (6)これらの結果から放射線照射による痴呆モデルが作製できたと考えた。 2.髄鞘形成障害モデルについて (1)生後4〜15日目のラットの半側頭部に5〜15Gyの照射を施行することにより、全身には影響を及ぼさずに、かつ非照射側をコントロールとすることで障害の程度を評価できるモデルを作ることができた。 (2)生後3、4週目の組織では、照射側の神経細胞や血管には明らかな変化を認めなかったが、グリア細胞の減少やミエリン形成障害が認められた。 (3)MBP(myelin basic protein)やlarge-MAG(myelin-associated glycoprotein)の免疫染色が、障害の評価に有用であった。 (4)オートラジオグラフィーを用いた糖代謝の検討では生後1週目に15Gy照射した生後3週目のラットで照射側の代謝の低下を認めた。
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