1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454350
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島 史雄 九州大学, 医学部, 助教授 (40117130)
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Keywords | 痙性斜頸 / 定位脳手術 / 脚内核 / 淡蒼球内節 / 胸鎖乳突筋 / 僧帽筋 / 脊髄運動ニューロン / ネコ |
Research Abstract |
痙性斜頸の多くは、レンズ核を中心とした大脳基底核の機能障害にもとづく不随意運動であると考えられている。痙性斜頸に対する定位脳手術の手術側は、頸筋に対する大脳からの支配側が明らかでないため研究者によって異なり議論が多い。本研究は、ネコを用いて大脳基底核の主要な出力系である淡蒼球内節(ネコでは脚内核)から代表な頸筋の運動ニューロンに対する神経支配側とその様式、伝導路を明らかにし臨床上の諸問題の解決に資することを目的とした。 平成4年度までの研究によって次ぎの事柄が明らかになった。 1)脚内核の単発電気刺激では頸筋の運動ニューロン活動を変化させることが少なく、反復刺激によってはじめて変化する。(通常、4-7個の矩形波(300Hz)を1Hzで刺激した)。 2)胸鎖乳突筋の運動ニューロンの多くは、同側脚内核の刺激で斬増性に興奮し、刺激を中止しても暫時、刺激効果が続く(潜時:3-225msec、平均79)。 3)両側大脳皮質運動感覚野を切除しても同様の刺激効果がみられ、視床ー皮質路の関与が希薄であることが明らかになった。 4)僧帽筋の運動ニューロンの多くは、反対側脚内核刺激で斬増性に興奮し、同側刺激では反応が得られなかった。 5)末梢神経刺激による逆行性応答を指標に各運動ニューロンの脊髄における局在を組織学的に検索したところ、胸鎖乳突筋運動ニューロンはC1レベルの脊髄前核背内側部、僧帽筋運動ニューロンはC2-3レベルの脊髄前核腹外側部にみられた。 以上の結果から、大脳基底核は胸鎖乳突筋に対して同側性に、僧帽筋に対しては対側性に促通性支配を行っており、下降性経路の主体は脳幹網様体における反響回路を介していることが推定される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 松本 俊一他: "定位視床手術高周波凝固巣のMRimaging所見" 日本医学放射線学会雑誌. 52. 1559-1564 (1992)
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[Publications] 島 史雄: "定位脳手術" 福岡医学雑誌. 83. 121-125 (1992)
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[Publications] Kavaklis,O.et al: "Ipsilateral Pallidal Control on the Sternocleidomastoid Muscle in Cats:Relationship to the Side of Thalamotomy for Torticollis" Neurosurgery. 30. 724-731 (1992)
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[Publications] Tomoda,H.et al: "Striatal dysfunction in Rolling mouse Nagoya:an electrophysiological study" Journal of the Neurological Science. 112. 106-112 (1992)
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[Publications] 島 史雄 他: "副神経減圧術による治療" ペインクリニック. 13. 327-332 (1992)
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[Publications] Otsuka,M.et al: "Increased striatal ^<18>F-Dopa uptake and normal glucose metabolism in idiopathic dystonia syndrome" Journal of the Neurological Science. 111. 195-199 (1992)
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[Publications] 島 史雄: "ジストニア症候群に対する定位脳手術 Neurosurgeons" サイメッド・パブリケーションズ(東京), (1993)