1991 Fiscal Year Annual Research Report
線条体虚血性細胞死のメカニズムの解明と神経移植による神経回路網の修復
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03454352
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
永井 肇 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00023747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
間部 英雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20093073)
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Keywords | 脳虚血 / 線条体 / 脳内移植 / 運動学習能 / 神経伝達物質 / 神経回路網 / 機能修復 |
Research Abstract |
1.ラット中大脳動脈閉塞あるいは全脳虚血モデルでは、線条体内のド-パミンが上昇することを高速液体クロマトグラフィで確認し、同部位のグルタミン酸も上昇することを酵素サイクリング法により確かめた。このような実験モデルにド-パミン(D1)レセプタ-の拮抗剤を用いると線条体の虚血による神経細胞障害が減り、さらにあらかじめ黒質を破壊しド-パミンの放出を少なくさせておいても虚血による線条体の細胞障害が少なくなり、興奮毒性を持つグルタミン酸以外にもド-パミンによる細胞障害も無視できないと思われた。2.中大脳動脈閉塞したラットは受動回避反応で観察すると学習能の低下を認めた。このようなラットの線条体に、胎仔線条体細胞を定位的に移植すると、ほぼ正常ラットのレベルにまで上習能は回復した。胎仔線条体細胞をあらかじめDiIでラベルし、移植1カ月後に蛍光顕微鏡で観察すると、細胞の生着、軸索の伸展を認めた。さらに細胞の特性を免疫組織化学的に調べた所、生着した細胞にGABAあるいはアセチコリンの神経伝達物質が含まれていた。移植部位である線条体から淡蒼球への出力線維に含まれるGABAを高速液体クロマトグラフィで測定した。移植ラットでGABAのuptake blocker(nipecotic acid)で前処置すると、正常ラットと同様なGABAの反応を示した。さらに、線条体の神経回路網(ド-パミン性、アセチルコリン性、GABA性線維)のレセプタ-をオ-トラジオグラフィを用い観察した所、移植部位内にもレセプタ-が発現していた。虚血ラットに対する脳内移植による機能回復のメカニズムを検討する上で、軸索を有する神経細胞の生着、神経伝達物質(GABA、アセチルコリン)の補充そしてそれらのレセプタ-の発現が関与することが示された。これらのことから、虚血脳による運動学習能の障害が脳内移植により回復する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小出 和雄,橋本 信和,金井 秀樹,間部 英雄,永井 肇,端谷 毅,熊崎 路子,西野 仁雄: "ラット虚血線条体梗塞巣への胎仔線条体細胞の移植による運動学習の回復" 神経組織の成長・再生・移植研究会 第5回学術集会論文集. 2. 80-81 (1990)
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[Publications] 橋本 信和,小出 和雄,松本 隆,間部 英雄,永井 肇,端谷 毅,西野 仁雄: "線条体虚血細胞死に対するdopamine拮抗薬の効果" 日本脳卒中学会機関誌. 13. 552 (1991)
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[Publications] 相原 徳孝,水川 公直,小出 和雄,間部 英雄,永井 肇,西野 仁雄: "ラット虚血線条体梗塞巣への胎仔線条体細胞の移植による学習能の回路ーGABA mergic nevronに注目してー" 神経組織の成長・再生・移植研究会 第6回学術集会論文集. 3. 20-21 (1991)