1993 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮,神経,血液細胞による循環調節とその相互作用
Project/Area Number |
03454371
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福田 悟 新潟大学, 医学部, 助教授 (30116751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 美佐緒 新潟大学, 医学部, 助手 (60221438)
藤原 直士 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181419)
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Keywords | 低酸素 / 血管内皮(膜) / 血管外膜 / カルシウム / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
血管内皮はshear stressを受けると内皮から拡張物質を放出する.そこで,血管内皮にshear stressを負荷する方法を次のごとくおこなった.上肢または下肢の血流を一時駆血することによって上腕ないしは大腿血管内圧をゼロにし,再び再還流することによって血管に圧を負荷した時の血管または血流の動態を観察した.年齢25〜44歳の健康成人6名を対象とした.安静仰臥位ののち,示指腹側にレーザードップラープローベを装着し上腕駆血前後の血流動態を観察した.駆血時間は1分間とし,駆血圧は200mmHgとした.駆血数秒で示指腹側の血流はほぼ0となった.駆血解除とともに血流は駆血前値の1.3〜1.5倍に上昇し,数秒以内にもとの血流レベルに戻った.一方,血流障害があると考えられる人では,駆血解除とともに血流は健常者と同様に上昇したが,血流は徐々に減少し駆血解除2秒で血流は駆血前の約1/2に減少した.その後,徐々に血流は回復し,駆血解除約30秒後に元のレベルに戻った.この反応は,繰返し観察された.そこで,内皮由来のnitric oxide(NO)の産生に異常があった場合,駆血後の血流動態はどのように変化するのかを検索するため,ラットにケタミン120mg/kgを静注後,時間30mg/kgでケタミン持続麻酔を行った.両側大腿動脈を露出し,一方は直接動脈圧のモニターとし,片側は実験に用いた.実検側の下肢足底にレーザードップラーのプローベを装着し,下肢への血流をモニターした.まず,露出大腿動脈を1分間クランプし,クランプ解除後の下肢血流動態を観察した.この反応は,健常者と同様に一過性の血流増加を呈した後,数秒以内にもとのレベルに復帰した.この後,nitro-L-arginineを40mg/kg静注(内皮依存性拡張反応をブロックする濃度)し,再び1分間駆血した後血流を解除したが,解除後の血流動態は変わらなかった.このことから,ヒトでみられた異常反応は内皮由来のNO産生低下に由来するものではないことが推察された.
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