1991 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌化機構に関する研究ー子宮内膜癌抑制遺伝子のクロ-ニング
Project/Area Number |
03454399
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和気 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 利朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10221095)
宮本 新吾 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40209945)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60214392)
|
Keywords | 子宮体癌 / 遺伝子クロ-ニング / 微小核融合 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では子宮体癌発生に関与する癌抑制遺伝子変異の全容を明らかにし、その生物学的意義について解析することを目的とした。1)子宮体癌細胞と正常線維芽細胞との細胞融合により、非造腫瘍及び造腫瘍クロ-ンを選択した。各々の核型比較を行った結果、融合細胞における造腫瘍能の獲得は、4番染色体の脱落を伴った。このため4番染色体上には造腫瘍性抑制に関与した遺伝子の存在が示唆された。2)正常ヒト1,6,9,11,18,19番染色体を単一で保有するマウスA9細胞から微小核を形成し、子宮体癌細胞へ単一染色体の移入を行った。1番染色体単一移入体癌細胞は全て合胞体細胞様の平坦な形態を示し、増殖特性及びヌ-ドマウスでの造腫瘍性は顕著に抑制された。同時に正常細胞と同様のアクチン束形成を示したため、1番染色体上には細胞骨格形成の制御にも関与する癌抑制遺伝子が存在することが示唆された。このため1番染色体に特異的なcDNA発現ライブラリ-を作成し、サブトラクションによる遺伝子クロ-ニングを現在行っている。3)36例の子宮体癌RFLPs解析を63種類のDNAプロ-ブを用いて解析した。17p及び18qの欠失が有意に高率であることが判明したため、Deletion mapを作成し解析したところ、それぞれp53、DCC遺伝子領域に一致して欠失が集中していた。同時に20%の体癌でKーrasコドン12の点突然変異も観察された。Kーras及びDCC遺伝子変異は全ての臨床進行期腫瘍で、p53遺伝子変異はIIIーIV期癌でのみ認められた。PCRーSSCP法で解析した結果も同様であったため、p53遺伝子変異は癌のプログレッションに関連した変化を推測された。4)Kーras遺伝子点突然変異部を含むアンチセンスオリゴDNAの投与により、体癌細胞数は無添加対照群に比し約60%に減少した。H^3ーTdR取り込みも30%に減少した。ナンセンスオリゴDNA添加と無添加群の間に差を認めなかったためアンチセンスオリゴDNAの特異的効果が推測された。
|
-
[Publications] Kato,H.,Nishida,J.,Honda,T.,Miyamoto,S.,Fujinaga,K.and Wake,N.: "Chromosome alterations contributed to neoplastic progression of transformed rat embryonal fibroblasts." Cancer Genet.Cytogenet. 58. 28-34 (1992)
-
[Publications] Imamura,T.,Arima,T.,Kato,H.,Miyamoto,S.,Sasazuki,T.,Wake,N.: "Chromosomal deletions and Kーras gene mutations in human endometrial carcinomas." Int.J.Cancer. 51. 1-6 (1991)
-
[Publications] Sasaki,M.,Oshimura,M.,Wake,N.: "Cell hybrids between human endometrial carcinoma cells and normal fibroblasts recover tumorigenic potential by the loss of chromosome 4." Genes,chromosome and Cancer. (1992)
-
[Publications] 杉尾 賢二,和気 徳夫,佐々木 雅弘,有馬 隆博: "染色体遺伝学の進歩と臨床応用" 日本臨床. 49. 2816-2821 (1991)
-
[Publications] 加藤 秀則,西田 純一,本多 つよし,佐々木 雅弘,今村 利朗,和気 徳夫: "癌抑制遺伝子" 産婦人科の実際. 40. 1285-1290 (1991)
-
[Publications] 西田 純一,加藤 秀則,和気 徳夫: "アンチセンスDNAの遺伝子治療への応用" オンコロジア. 24. 43 (1991)