1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454406
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小宗 静男 九州大学, 医学部, 講師 (10117434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君付 隆 九州大学, 医学部, 助手
中川 尚志 九州大学, 医学部, 医員
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Keywords | モルモット / ひよこ / 蝸牛 / 神経節細胞 / 有毛細胞 / パッチクランプ法 / イオンチャンネル |
Research Abstract |
今年度は、昨年度明らかにしたモルモット蝸牛外有毛細胞の電位依存性チャンネルの生理・薬理学的特性の検討を行った。外有毛細胞には2種類のカリウムチャンネルが存在する。その一つは従来のカリウムチャンネルと異なり、静止電位においてすでに活性化されている。このチャンネルは種々のイオンに対するイオン透過性も従来のものと異なっており、また外液の陰イオンに依存して活性化された。 耳毒性が知られているアミノ配糖体系抗生物質を投与すると、蝸牛においては外有毛細胞に最初に障害がおこる。そこで、外有毛細胞の電位依存性チャンネルに対するアミノ配糖体の効果を検討した。アミノ配糖体は外有毛細胞のカルシウムチャンネルを選択的に抑制した。カリウムチャンネルには全く影響は与えなかった。聴覚路において外有毛細胞は微細に音を聞き分ける役割を担っていると考えられている。これは外有毛細胞の運動能により発現している。運動能には細胞内のカルシウムが関与しており、電位依存性カルシウムチャンネルが重要である。アミノ配糖体系抗生物質がカルシウムチャンネルを抑制するということは、外有毛細胞の働きの阻害に関係している可能性がある。また、有毛細胞には機械的刺激により開閉するチャンネルがある。哺乳動物の有毛細胞においては依然このチャンネルの記録は行えていない。そこで、このチャンネルによる応答の記録が可能であるひよこの蝸牛より単離した有毛細胞に対する薬物の効果を検討した。やはり耳毒性が知られている抗癌剤のシスプラチンを投与し、チャンネルの応答をみた。シスプラチンはこの応答に対する抑制効果を有している。今後、他の薬剤のチャンネルへの効果を検討し、耳毒性薬剤の機序の解明が期待される。
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[Publications] T.NAKAGAWA: "EFFECTS OF CA2+ ANTAGONISTS AND AMINOGLYCOSIDE ANTIBIOTICS ON CA2+ CURRENT IN ISOLATED HAIR CELLS OF GUINEA PIG COCHLEA" BRAIN RESEARCH. 580. 345-347 (1992)
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[Publications] T.NAKAGAWA: "VOLTAGE‐DEPENDENT CHANNELS IN DISSOCIATED OUTER HAIR CELLS OF GUINEA PIG" PROCEEDINGS OF SENDAI SYMPOSIUM'92 ON COCHLEAR NEUROBIOLOGY. 1. 31-35 (1992)
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[Publications] T.NAKAGAWA: "IONIC PROPERTIES OF IK,N IN OUTER HAIR CELL OF GUINEA PIG" BRAIN RESEARCH(SUBMITTED).