1991 Fiscal Year Annual Research Report
HTLVーI感染の眼科領域における基礎的問題と臨床的問題の検討
Project/Area Number |
03454417
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大庭 紀雄 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50010070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 久美子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30217658)
伊佐敷 靖 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70168160)
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
上原 文行 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (30168653)
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Keywords | HTLVーI / ぶどう膜炎 / 網膜脈絡膜変性 / HAM / PCR |
Research Abstract |
HTLVーIと眼疾患との関連を臨床的および基礎的に検討して、下記の研究成果をあげることができた。 臨床的には、ぶどう膜炎に着目した。原因不明あるいはclinical entityが特定できない70例についてHTLVーI抗体を血清についてみると、29例(41%)が陽性であった。この陽性率は、年齢を補正しても地域住民における陽性率よりも有意に高く、HTLVーIの相対危険度が高いとみなしてよい。ゆえに、ぶどう膜炎の成因にこのレトロウイルスが関与していると考えられる資料である。 このようなHTLVーI陽性のぶどう膜の臨床徴候には、いくつかのみるべき特徴がある。すなわち、急性に発症すること、前房や硝子体に炎症細胞が出現すること、網膜血管には軽度の混濁がみられること、経過は比較的良好であること、数か月〜1年で再発することがあること、片眼性もしくは両眼性であること、などである。このような臨床像は、HTLVーI脊髄症(HAM)に合併するぶどう膜炎に類似することも注目される。 また、HAM症例の7例で網膜脈絡膜変性がみられた。HTLVーIに関連するか否かは今後の課題である。 基礎的には、ウイルスDNAをPCR増幅して、眼組織を検索する方法を手にすることができた。HAM剖検眼球にこの方法を応用したところ、網膜からHTLVーIウイルスDNAを証明することができた。さらに、剖検網膜の血管周囲に細胞浸潤をみた。これらの所見とぶどう膜炎との関連は今後の研究課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大庭 紀雄: "HTLVーI感染症" 眼科. 33. 1395-1403 (1991)
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[Publications] Nakao K: "Seroprevalence of antibodies to HTLVーI in patients with ocular disorders" British Journal of Ophthalmology. 75. 76-78 (1991)
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[Publications] Nakao K: "HTLVーI associated uveitis" British Journal of Ophthalmology.