1992 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-I感染の眼科領域における基礎的問題と臨床的問題の検討
Project/Area Number |
03454417
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大庭 紀雄 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50010070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 久美子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30217658)
伊佐敷 靖 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70168160)
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
上原 文行 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30168653)
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Keywords | HTLV-I / ぶどう膜炎(HAU) / 網脈絡膜変性 |
Research Abstract |
レトロウイルスHTLV-Iと眼疾患との関係を臨床的および基礎的に検討して、下記の研究成果をあげることができた. 1)臨床問題で前年度研究に引き続いて最も注目したのは、ぶどう膜炎の発症原因におけるHTLV-Iの関与である.症例を増してこの問題を検討した.われわれがHTLV-I関連ぶどう膜炎HTLV-1 associated uveitis(HAU)と提唱する疾病の存在を確信するにいたった.その根拠は、他に原因を求めることができない「ぶどう膜炎」の症例群におけるHTLV-I感染率が、原因もしくは病型の同定が可能な症例群におけるそれよりも統計的に有為に高いことに加えて、HAUと想定される症例の臨床像にいくつかの特徴のあることである.すなわち、肉芽腫性炎症を前眼部や硝子体にみること、網膜血管病変を随伴すること、これらが急性に発症すること、副腎皮質ステロイド薬に反応して数週以内に寛解することが多いこと、一定の間隔で炎症の再燃をみること、などがある.特に注目すべき知見は、このような臨床像が、HTLV-Iによる慢性神経疾患HTLV-I associated myelopathy や HTLV-I関連症候群に併発することのあることである.われわれは、この新しい疾病を国内のみならず国内にも発表を続けてきたところ、内外における関心は高まってきた.HAUの発見は、HTLV-Iが関連するであろうさまざまな疾病の理解にも有用な情報を提供するにちがいない. 2)臨床的には、ぶどう膜炎の他に原因不明の網膜脈絡膜変性の原因にもHTLV-Iが関与する可能性を示唆する資料を得ることができた. 3)一方、HTLV-Iによる眼疾患発生の機序についていくつかの基礎的検討を行なったが、見るべき成果は得られなかった.今年研究の反省点であるが、ようやく問題解決のための方策を持つことができたので、来年度研究で新しい視点から研究を継続することになった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大庭 紀雄: "レトロウイルスHTLV-Iの眼科臨床問題" 日本眼科学会雑誌. 97. (1993)
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[Publications] Kumiko Nakao: "Clinical features of HTLV-I assoiatad uveitis" Bnitish Journal of Ophthalmology. (1993)
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[Publications] Kumiko Nakao: "Current aspects in Ophthalmology (Ocular manifestation in HTLU-I)" Elsevier Seience Publishers B.V., 3 (1992)
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[Publications] Akiko Okubo: "Current aspects in ophthalmology (Intraocular T-cell infiltration in adult T-cell lymphoma)" Elsevier Science Publisher B.V., 2 (1992)