1991 Fiscal Year Annual Research Report
異常コラ-ゲンにおけるアパタイト結晶の形成と成長機構に関する高分解能電顕的研究
Project/Area Number |
03454424
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00157421)
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Keywords | 象牙質形成障害 / 異常コラ-ゲン / 結晶格子 / 高分解能電子顕微鏡 / フッ化ナトリウム / ビンブラスチン / コルヒチン / 酸性ムコ多糖体 |
Research Abstract |
異常コラ-ゲンは、ビンブラスチン(VBL)、コルヒチン(COL)およびフッ化ナトリウム(NaF)投与によって象牙に形成される事が分かった。VBLおよびCOL投与例では、投与24〜36時間後の予成象牙質中に、分節状の太いコラ-ゲン束が観察された。この分節状コラ-ゲンは長さ約300nm、幅200〜400nmで、内部に多数の細いバンド構造が観察された。またその横断像は不規則な円形であった。投与4日後、これら分節状コラ-ゲンは石灰化前線部に移行するとともに、そこに結晶を沈着させていた。この結晶は一部に瘤状の膨隆を持つ極めて長い板状の外形の呈し、C軸横断面で幅15〜20nm、厚さ2〜3nmであった。NaF投与例では、投与1時間後に予成象牙質中に多量のルテニウムレッド陽性物質と、分節状コラ-ゲンの出現が見られ、投与6〜12時間後には、上記に加えて長周期構造をもつコラ-ゲンが出現していた。この長周期コラ-ゲンは約150nmの周期構造を示し、太さ100〜300nm位のものが多く見られた。投与2日後、石灰化前線部では、これらの異常コラ-ゲンに結晶の沈着する像も見られた。分節状コラ-ゲンは全ての投与例に見られたが、長周期コラ-ゲンはNaF投与例のみに見られた。これはNaF投与例で、多量の酸性ムコ多糖体が形成されるのと関係があると思われる。また正規のコラ-ゲンも異常コラ-ゲンも、共に結晶の沈着が見られたことより、コラ-ゲンの石灰化はこれまで言われているようなコラ-ゲンのホ-ルゾ-ンとは関係なく起こることが示唆された。しかし結晶自体の大きさは、異常コラ-ゲンに沈着しているものの方が、正規のコラ-ゲンのそれより長いように思われた。
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