1992 Fiscal Year Annual Research Report
異常コラーゲンにおけるアパタイト結晶の形成と成長機構に関する高分解能電顕的研究
Project/Area Number |
03454424
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯科部, 助教授 (00157421)
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Keywords | 象牙質形成障害 / 異常コラーゲン / 結晶格子 / 高分解能電子顕微鏡 / フッ化ナトリウム / ビンブラスチン / コルヒチン / 酸性ムコ多糖体 |
Research Abstract |
今年度はフッ化ナトリウム(NaF)投与によって象牙質に形成される異常コラーゲンについて、主に研究を行った。NaF投与によって形成される異常コラーゲンは、長さ約300nm、幅200〜400nm(時に1μm近い物も形成される)で内部に多数の細いバンド構造をもつ分節状の物と、太さ100〜300nm位で約150nmの周期構造を示す長周期コラーゲンがある。異常コラーゲンは初め分節状の物が形成され(投与1時間後)、その後これに混じって長周期コラーゲンが出現する。また細胞周囲の予成象牙質中で、多数の分節状コラーゲンが縦に連続した像や、長周期コラーゲンと分節状コラーゲンの重合像もしばしば見られることより、長周期コラーゲンは分節状コラーゲンの分子の再配列によって形成されるものと思われた。しかしビンブラスチンやコルヒチン投与によって分節状コラーゲンは生じるのが、長周期コラーゲンは形成されない。これはNaF投与時に多量に分泌される酸性ムコ多糖体が長周期コラーゲンの形成に深く関与しているためと思われる。これら異常コラーゲンは、石灰化前線部に移行すると、そこに結晶を沈着させ石灰化していた。結晶の沈着は初め異常コラーゲンの周囲より起こり、徐々に内部におよんでいた。また結晶沈着を受けた異常コラーゲンは、沈着する前の物と比ベ、縦断像でバンド構造や周期構造が不明瞭となり、横断像では結晶の大きさに相当すると思われる空隙が断面上に多数見られた。また正規のコラーゲンも異常コラーゲンも、共に結晶の沈着が見られたことより、コラーゲンの石灰化はコラーゲン自体の構造と関係なく起こることが示唆された。異常コラーゲン内に沈着した結晶を高分解能電顕で観察すると、一部に瘤状の隆起を持つ極めて長い板状の外形を呈し、C軸横断面で幅15〜20nm、厚さ3〜4nmであった。
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