1991 Fiscal Year Annual Research Report
新たに樹立したクロ-ン化ヒト軟骨細胞様細胞株を用いた内軟骨性骨形成機構の解析 ー細胞生物学的、分子生物学的アプロ-チー
Project/Area Number |
03454429
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
滝川 正春 大阪大学, 歯学部, 助教授 (20112063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 彬 大阪大学, 歯学部, 講師 (50028734)
榎本 資己 大阪大学, 歯学部, 助手 (80203644)
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Keywords | 軟骨細胞株 / 軟骨肉腫細胞株 / 分化 / プロテオグリカン / 成長因子 / アスコルビン酸 / アルカリホスファタ-ゼ / レセプタ- |
Research Abstract |
1。IGFーIおよびIIはHCSー2/8細胞のプロテオグリカン(PG)合成を促進したが、その作用はウサギ肋軟骨初代培養細胞に対する作用とは逆にIGPーIよりもIIの方が強かった。また、本細胞は培養液中にIGFーIおよびIGFーIIを産生・分泌しており、さらに、typeIおよびtypeIIレセプタ-を有していた。また、抗IGFーII抗体はHCSー2/8細胞のPG合成を30ー40%阻害し、抗typeーIレセプタ-抗体は約70%阻害した。なお、typeーIレセプタ-に結合することが知られているマンノ-ス6燐酸はHCSー2/8細胞のPG合成を増加させ、また、単独ではPG合成を促進しない濃度のマンノ-ス6燐酸をIGFーIおよびIGFーIIとともに作用させるとIGFーIおよびIIのPG合成高進作用が著明に増強した。以上の結果、本細胞のPG合成の維持にIGFーIおよびIGFーIIの両者がオ-クソン・パラクソン的な役割を果たしていること、従来IGFーIIの情報伝達はtypeーIレセプタ-を介するものと考えられていたが、本細胞ではtypeーIIレセプタ-が重要であることが明かとなった。 2。本細胞のDNA合成はIGFでは高進せず、TGFーβで著明に高進することが明かとなった。また、basic FGFは本細胞の増殖を増殖を極めて疎にまいたときのみ促進したが、これは本細胞がbFGFを正常軟骨細胞の約2.5倍を産生しており、そのために常にオ-トクリン的に刺激を受けておりconfluentな状態では外部から添加しても効果がみられないものと思われる。事実、confluentに達しても本細胞のDNA合成は低下しなかった。 3。本細胞のアルカリホスファタ-ゼ活性は通常は極めて低いが、アスコルビン酸存在下で培養すると約20倍にも上昇すること、又細胞への ^<45>Caの取り込みが高進し、細胞は肥大化すること、さらに少なくとも一部の細胞は増殖能を失うことが明らかとなった。すなわち、本細胞はアスコルビン酸存在下で培養すると内軟骨性骨化の方向へ分化することが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 滝川 正春: "ヒト軟骨肉腫由来の軟骨培養細胞株(HCSー2/8)" The Bone. 12(4). 37-43 (1990)
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[Publications] 滝川 正春: "ヒト軟骨肉腫由来のクロ-ン化軟骨培養細胞株(HCSー2/8)" 組織培養研究、. 9(2). 68-73 (1991)
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[Publications] M.Takigawa: "Effects of various growth and differentiation factors on expression of parathyroid hormone receptors on rabbit costal chondrocytes in culture" Endocrinology. 129. 868-876 (1991)
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[Publications] 坂和 明: "ヒト軟骨肉腫培養細胞株(HCSー2/8)に対するインタ-フェロンの影響" 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 34(2). 548-550 (1991)
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[Publications] 滝川 正春: "ヒト軟骨細胞様培養細胞株(HCSー2/8)の分化機能の維持機構" 第8回関東地区カルシウム骨代謝研究会報告集. 8-13 (1991)
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[Publications] M.Takigawa: "Establishment from a human chondrosarcoma of a new immortal cell line with high tumorigrnicity in vivo,which is able to form proteoglycanーrich cartilageーlike nodules and to respond to insulin in vitro." Int.J.Cancer. 48. 717-725 (1991)
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[Publications] M.Enomoto(ed.M.Adolphe): "Regulation of tumorーderived and immortalized chondrocytes.Biological Regulation of The Chondrocyte" CRC Press, (1991)