1991 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収機構におけるタンパク分解酵素およびリソゾ-ム膜タンパク質の役割
Project/Area Number |
03454433
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 光江 九州大学, 歯学部, 助手 (30223647)
鎌田 理 九州大学, 歯学部, 助教授 (80037580)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / プロテア-ゼ / リソゾ-ム膜タンバン質 |
Research Abstract |
骨吸収の中心的役割を果たす破骨細胞は活発な運動性を有する多核の巨細胞で、高度に特殊化した形態と機能を有している。骨吸収現象はこの破骨細胞が骨表面に接触して形成した波状縁部で見られる。骨吸収過程には破骨細胞の分泌する酸や各種の水解酵素が関与しており、なかでも破骨細胞のもつプロテア-ゼは直接的骨吸収因子として重要視されている。しかし、どのようなプロテア-ゼが、いかなる機序で骨組織を破壊するのか等、骨吸収機構におけるプロテア-ゼの機能の詳細については殆ど解明されていない。また、破骨細胞は骨吸収を効率的に行うために波状縁部に特殊な微小環境(吸収窩)を形成するが、この部分の膜は形態的にも機能的にも一般の形質膜とは異なっていると考えられるが、その詳細な性格についても解明されていない。本研究は、骨吸収に関与する破骨細胞のプロテア-ゼの同定とその役割について検討するとともに、波状縁部の膜特性について検討を加えるものである。具体的には、各種プロテア-ゼならびにリソゾ-ム膜タンパク質に対する特異抗体を調製し、免疫生化学的および免疫形態学的手法を用いて上記課題を追究する。本年度の研究によって得られた知見は以下のとうりである。 (1)リソゾ-ム性システインプロテア-ゼであるカテプシンBは活性状態にある破骨細胞においてリソゾ-ム様顆粒に検出されるとともに波状縁部の膜間や吸収窩の骨表図に認められた。また、カテプシンBはI型コラ-ゲンを非常によく水解することが確認された。(2)リソゾ-ム性アスパルティックプロテア-ゼであるカテプシンDはカテプシンBとは異なり、波状縁部の膜間や骨表面には認められず、吸収窩の膜表面に近いリソゾ-ム様顆粒に強く検出された。I型コラ-ゲンに対する分解能も軽度であった。以上の結果は、両酵素が骨吸収過程で異なった機能を担っていることが強く示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hideaki Sakai: "Synthesis and intracellular distribution of cathepsins E and in differentiating murine Friend erythroleukemia cells." Arch. Biochem. Biophys.(1992)
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[Publications] Tomomi Shindou: "Inhybitory effect of NMDA on dopaminergic transmission in a slice preparation of rat globus pallidus." Japan J. Pharmacol.58. 79-82 (1992)
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[Publications] Tetsuya Goto: "Immunocytochemical lacalization of cathepsin D in the rat osteoclast." Histochemistry. 97. 13-18 (1992)
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[Publications] Takashi Saku: "An innmunocytochemical study on distinit intracellular localization of cathepsin E and Cathepsin D in human gastric cells and various rat cells." J. Biochem.110. 956-964 (1991)
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[Publications] Hiroshi Nakanishi: "Inhibitory effects of NMDA receptor antagonists on hypoxiaーinduced seizures in dietactry Mg^<2+>ーdeficient" Eur. J. Pharmacol.204. 29-34 (1991)
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[Publications] Kenji Yamamoto: "Biological significance and activity control of cathepsin E compared with cathepsin D." Plenum Press, 297-306 (1991)
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[Publications] Hidaki Sakai: "Immunohistochemical and immunocytochemical localization of cathepsin E copmared with cathepsin D." Plenum Press, 361-364 (1991)