1991 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎患者歯肉におけるコラゲナ-ゼ及びコラゲナ-ゼインヒビタ-mRNAの検索
Project/Area Number |
03454440
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉江 弘正 新潟大学, 歯学部, 助教授 (20143787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 一博 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (00169228)
山崎 和久 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (00182478)
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Keywords | 逆転写PCR法 / 歯肉 / コラゲナ-ゼ / TIMP |
Research Abstract |
本研究の目的は、逆転写PCR(Polymerase Chain Reaction)法を含む分子生物学的手法を応用し、ヒト歯肉局所におけるコラゲナ-ゼ及びコラゲナ-ゼインヒビタ-(TIMP,TIMPー2)遺伝子の発現レベルを検索することである。平成3年度は、逆転写PCR法方法論の確立に重点をおき実験を進めてきた。申請者らは、まずβーactin(内部コントロ-ル),TIMP,TIMPー2,コラゲナ-ゼのcDNA塩基配列を基にして、プライマ-の設計と依託合成を行い、これらのプライマ-を用いた逆転写PCR法によって、それぞれ、300,386,496,611bpの鎖長のPCR増幅産物を得た。これらのPC幅産物は、その鎖長及び制限酵素地図により目的とする各mRNA由来であることを確認した。各mRNA発現レベルは、各PCR増幅産物に取り込まれる放射能の、サイクル数に対する増加量をレ-ザ-イメ-ジ解析装置を用いて調べ、得られる増幅曲線から推定した。以上のような方法により、少数例の健常者及び歯周炎患者の歯肉RNAを検索し、次の結果が得られた。1)健常者歯肉では、TIMP,TIMPー2のmRNA発現レベルはほぼ同等であったのに対し、コラゲナ-ゼmRNAの実現レベルはかなり低かった。2)歯周炎患者歯肉のうち、かなり高レベルのコラゲナ-ゼmRNA発現が認められ、同時にTIMPmRNAのレベルが発現上昇していた症例があった。この症例ではTIMPー2のβーactinに対する発現レベルは健常者とあまり変わらなかった。また、各遺伝子の発現のパタ-ンが健常者に類似した症例もあった。この方法は感度に優れ、ある1箇所の歯周ポケットをタ-ゲットにし、その周囲の微量な罹患歯肉サンプルを検索する上で非常に有用であると思われた。コラ-ゲン代謝の調節には多くの要因が複雑に関与し、患者歯肉採取時の病態によりTIMP,TIMPー2,コラゲナ-ゼの遺伝子発現パタ-ンも多くのバリエ-ションがあることが十分予想される。今後さらに多くの症例を検索しコラ-ゲン代謝機構を解明する一助としたい。
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