1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎におけるフォスフォリパーゼA_2の局在および意義に関する研究
Project/Area Number |
03454442
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Research Institution | The university of Tokushima, University of Dental Hospital |
Principal Investigator |
若野 洋一 徳島大学, 歯学部, 教授 (10028722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 正俊 徳島大学, 歯学部, 助手 (20224438)
永田 俊彦 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10127847)
石田 浩 徳島大学, 歯学部, 助教授 (90127803)
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Keywords | フォスフォリパーゼA_2 / 歯肉溝滲出液 / 歯周病 / disease activity |
Research Abstract |
アラキドン酸糸で産生の酵素であるフォスフォリパーゼA_2(PLA_2)が歯周病患者の歯肉溝滲出液(GCF)中に認められるのか、また、この活性が歯周病患者の病態を反映しているのか否かを追究した。活性測定はフォスファチジルエタノールアミンのアラキドン酸を^<14>Cでラベルした基質を用い遊離した[^<14>C]-アラキドン酸の放射活性を測定することにより算出した。 その結果、未治療患者のGCF中の約半分にPLA_2活性が検出された。このGCF中のPLA_2活性は周部位より抽出された歯肉組織中のものと高い正の相関関係が認められたが、一方、唾液中や血液中では活性は検出されなかった。また、GCF中の活性は歯周治療により著しく減少した。このようにGCF中のPLA_2活性は歯肉組織に由来しており、その程度は歯周病の病態に相関しているものと推察された。そこでこれらのPLA_2活性をdisease activityの指標であるといわれているプロービング時の出血(BOP)の有無で分類した。未治療の患者のGCF中のPLA_2活性はBOP(+)のものがBOP(-)のものに比べて2.6倍と有意に高かった。また、BOP(+)であった部位で歯周治療後BOP(-)になった部位のPLA_2活性はほとんど検出できないレベルまで顕著に減少したのに対して、BOP(+)で治療後もBOP(+)のままであった部位のPLA_2活性には有意な減少が認められなかった。 GCF中に検出され歯周組織破壊に関与しておりdisease activityの指標になりうると報告されているものに、インターロイキン1、プロスタグランジンE_2がある。これまで我々は歯肉線維芽細胞でインターロイキン1によりPLA_2が誘導されプロスタグランジンE_2産生を促進することを報告している。これらの結果はGCF中のPLA_2活性測定が歯周病の状態を反映しており、将来disease activityを判定する指標の1つとして有効な方法になりうるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)