1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454457
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 長明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80014108)
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Keywords | 痛み / 中枢神経 / 大脳皮質 / デオキシグルコース法 |
Research Abstract |
痛みの認知機構に対する中枢の役割については、現在全くといってよいほど解明されていない。そこで本研究では、知覚神経の末梢に加えた侵害刺激が、中枢のどの部位の神経活動に影響を与えるかということを究明するために行った。対象は体重500〜550gのウィスター系ラットである。麻酔はサイアミラールの腫腟内投与によって行い、自発呼吸下で維持した。次いで、14C-デオキシグルコースを125μci/kg静脈内投与した。侵害刺激を与えるため、三叉神経末梢の上唇部に双極電極を刺入し、電気刺激装置およびアイソレータを用いて電気的侵害刺激を45分間加えた。その後直ちに断頭し脳を摘出した。摘出した脳は、ドライアイスで冷却したイソペンタンにて急速冷凍した後、包埋した。そして、凍結切片作成装置を用いて、-20℃の状態にて、前頭部より後頭部にかけて、厚さ20μmの凍結切片を、15枚に1枚の割合で連続的に採取した。24時間にわたって、-20℃の状態にて乾燥し、ルミラー膜上に各切片をはりつけた。そして、X線フィルムに濃度のキャリブレーションのため、あらかじめ濃度が明らかなマイクロスケールとともに3週間密着した後現像を行った。現像したX線フィルムは、マイクロデンシトメータを用いて各脳組織の黒化度を測定し、14C-デオキシグルコース濃度に換算した。その結果、大脳皮質の体性感覚野においては、電気的浸害刺激を加えた側とは反対側の14C-デオキシグルコース濃度が同側にくらべて高い傾向がみられた。14C-デオキシグルコース濃度が高い部位は低い部位にくらべて神経活動が活発であることを示している。なお、電気的侵害刺激を加えなかった場合については現在研究中である。
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