1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454458
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Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (90014125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 暢夫 聖徳大学, 人文学部, 教授 (30016844)
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Keywords | 変動電場 / 変動磁場 / 誘電率 / 周波数 / 誘電緩和 |
Research Abstract |
生体の電界、磁界効果においてもっとも重要な生体の電気特性は誘電率εの周波数依存性である。しかし生体組織の電気特性は不明の部分が多い。従来の研究では血液の誘電率は誘電緩和現象を示しα、β、γの三つの分散を示すとされ、周波数が高くなるに従って誘電率は低下するといわれてきた。しかし低周波数領域での血液の電気特性はいまだ十分に解明されていない。そこで低周波領域での血液誘電率の周波数特性について検討した。 ヒトの全血、血漿、溶血液、沈渣血球、赤血球内溶液および生理的食塩水に周波数20Hz〜30MHz、1mAの交流通電を行ない73ポイントで各血液サンプルの周波数ごとの容量を2電極法で測定し、誘電率を算出した。その結果10KHz付近までは、εの値はいずれのサンプルに対しても、いわゆるα分散型現象を示した。しかしサンプルによってεの値に大きな違いが観察され、電極分極の影響が予想された。そこで電極分極を除去する目的で4電極法による誘電率の測定を行った。2電極法で用いたと同じ血液サンプルに周波数10Hz〜120KHz、1Vの定電圧で交流通電を行い、42ポイントの周波数下で4電極法で容量と抵抗を測定し、誘電率を算出した。 その結果、2電極法の結果と異なり、εの値が全ての場合について大きく低下し、α分散に対応するものは従来の値の1/10に減少した。このことは電極分極の寄与が減少したことに起因すると考えられた。さらに各種血液サンプルに対するε値の比較から、ここで用いた4電極法でも電極分極の影響が完全には除去されていないことが判った。これらの結果より、α分散なるものは実在せず、従来α分散といわれたものは電極分極の寄与と考えられた。一方この血液サンプルの組合せにより、β分散が構造分散であることを確認した。
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