1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松矢 篤三 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学部, 助手 (20205371)
森本 俊文 大阪大学, 歯学部, 教授 (20028731)
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Keywords | Jaw Movement / Tongue Movement / Respiration |
Research Abstract |
平成4年度は、まず、口腔の構音運動の障害の一つである吃音(どもり)の発生の生理学的背景について検討する目的で口蓋帆運動を担う口蓋帆挙筋と気道内の気流感覚との生理学的関係について成犬を用いて検討を行った。その結果、口蓋帆挙筋は声門下ならびに声門上での気流によってその活動が賦活化されることが明らかとされた。このことは、吃音でみられるBlock現象(発声の一次的停止)から爆発的に生じる破裂音の連続は、この様な声門下ならびに声門上での増大した気流量を知覚することにより口蓋帆が反射的に活動を示すことにより生じることを示すものと考えられた。 Oral Dyskinesiaの発生には、口腔内の感覚の異常が起因していることが推察されている。そこで、実験では従来より報告されているOral Dyskinesiaを誘発するD1,D2 agonist(Quinpirole、SKF38393)を投与を行い顎舌運動を誘発させた状態で、口腔内知覚を麻痺させ、その影響をラットを用いて検討した。その結果、口蓋部に浸麻を施すことにより誘発されたOral Dyskinesiaの回数は急激に減少することが観察され、口腔内の知覚がOral Dyskinesiaの誘発に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。また、サルを用いて臼歯部に不良補綴物を装着し経過を観察したところ、弄舌を伴う下顎の不随意運動が発生し、ヒトのOral Dyskinesiaと同様な症状が発現することが示された。しかしながら、従来指摘されているパーキンソン病治療薬の慢性投与では明らかな下顎の不随意運動は観察されなかった。このことからOral Dyskinesiaの発生には口腔内の知覚異常が関与していることが明らかとなった。
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