1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト下顎骨骨肉腫細胞株のin vitro培養系における分化・石灰化機構について
Project/Area Number |
03454470
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉川 博政 九州大学, 歯学部, 助手 (00220608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 英雄 九州大学, 歯学部, 教授 (20037500)
大石 正道 九州大学, 歯学部, 助教授 (70037505)
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Keywords | 骨肉腫 / 骨芽様細胞 / 培養細胞 |
Research Abstract |
骨形成における初期石灰化機構を解明するため、当教室で樹立したヒト下顎骨骨肉腫由来細胞株の生物学的性状について検討した。A,B2つのクローンを比較したが、クローンBはALP活性は低く、PTHによるcAMPの上昇は認められなかった。これに対してクローンAは培養初期より高いALP活性を認め、PTHを培地中に添加すると、濃度依存性にALP活性の上昇がみられ、cAMP合成では10-^<-6>MのPTHを投与すると薬13倍に上昇した。また、PGEを添加すると、PTHの反応とは逆に濃度に依存して10^<-7>Mでcontrolの74%にALP活性が抑制された。さらに活性化ビタミンDを培地中に添加してもALP活性の上昇は認められなかった この細胞の染色体数は57-59にピークがみられ、トリプシンGバンド法にて8細胞分析の結果では、8P^-の共通した異常が認められた。この細胞株はヌードマウス移植可能であり、1X10^7個を腹部皮下に接種すると、1-2週間後に直径5-6mmの腫瘍を形成し、腫瘍の増大が認められた。腫瘍細胞は母組織とほぼ同一の組織像を呈し、3か月経過すると腫瘍内に類骨の形成が認められるが、接種1か月の腫瘍塊を取り出し、これをホモジネートし4Mグアジニン塩酸で処理した材料をヌードマウスに移植すると同部に骨様構造物の形成がみられた。このことは、この細胞株がBMPを合成している可能性があり、現在BMPの種類について検索中である。わらわれの細胞株はオステオカルシンの合成は認めておらず、BMPはオステオカルシンを合成するような成熟した骨芽細胞では合成されないとの報告もあり、今後骨芽細胞の分化の研究においてもこの細胞株は有用と思われる。尚、結果については、英文雑誌に投稿中である。
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