Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 明 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70166122)
永井 格 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30136957)
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50165180)
山口 晃 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10210353)
小田島 哲世 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00177239)
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Research Abstract |
口腔癌の治療にあたって臨床的にリンパ節転移巣が触知される症例には頸部郭清手術が適用される。一方,臨床的に触知不能な潜在性リンパ節転移に対する手術適応基準はいまだ確立されていない。当科で過去13年間に治療を行った口腔粘膜癌一次症例のうち,初診時,臨床的に転移を認めない141例を対象に潜在性リンパ節転移をきたした症例の臨床的,病理組織学的所見の特徴を明らかにすることを目的に検討を行った。原発巣の組織学的悪性度は,分化度,異型度,分裂像,リンパ球浸潤および癌浸潤様式の各所見に1〜5点の評点を与え,それらの合計点をmalignancy scoreとして評価した。潜在性リンパ節転移を有する症例の臨床的特徴は,舌,口底癌で腫瘍径が3cm以上,内向発育型を呈することであり,組織学的には,malignancy score10点以上,低分化型,核分裂像:多,癌浸潤様式4C,4D型であった。また,数量化理論第II類による計量的解析では,潜在性リンパ節転移の有無に寄与する転移関連因子は,最大は癌浸潤様式であり,次いで原発部位,腫瘍の大きさ,分化度の順であった。さらに,札幌医科大学医療情報センターの大型コンピューターのApplication Systemを用いて判別分析を行ったところ,90.1%の的中率で潜在性リンパ節転移の予測が可能であった。以上の結果は,原発巣の組織学的悪性度が癌の転移形成に高い確率で関与することを示しており,潜在性リンパ節転移症例に対する頸部郭清手術の適応基準の決定に際し,組織学的悪性度はきわめて確率の高い客観的診断基準となりうることが明らかとなった。なお,郭清手術の適応術式に関しては今後の検討課題である。
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