1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454472
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
成田 令博 東京医科大学, 医学部, 教授 (00074526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 俊哉 東京医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | イミプラミン / カルバマゼピン / 体性感覚誘発電位 / 事象関連電位 / 痛み関連電位 / P300 |
Research Abstract |
顎口腔領域にみられる不定疼痛症例に対して三環系抗うつ剤であるイミプラミンが用いられることが多く、三叉神経痛症例に対して抗てんかん薬であるカルバマゼピンをしばしば用いて有効症例を経験しているが、その鎮痛機序については末だ十分には明らかにされていない。本年度の研究は、歯牙電気刺激による体性感覚誘発電位(SEP)と左右弁別課題を施行した聴覚誘発電位(AEP)の標的刺激波形である事象関連電位(ERP)を測定し、これら向精神薬の鎮痛効果と中枢における作用について電気生理学的に分析した。測定には健常成人男子被験者を対象とし、イミプラミンについてはプラセボ,ジクロフェナクナトリウムを対照とし投薬前後の波形を、カルバマゼピンについてはプラセボを対照として投薬前後の波形を測定し比較検討した。実験は、CzーA_1+A_2の単極誘導にてSEPは左右いずれかの上顎中切歯に刺激頻度0.3Hz、刺激間隔0.1msec、刺激強度1.2mAの単一矩形パルスを加え、Low filter 1Hz、High filter 250Hz、加算回数64回、分析時間600msecに設定した。AEPは左右いずれかの耳に刺激間隔0.1msecにて50dB nHLのクリック音を刺激頻歩0.5Hzで与え、右側への刺激音を20%の割合でランダムに与える標的刺激とした。各々の電位成分の分析にはt検定を用いた。 この結果、SEP波形において、イミプラミンはN_3潜時を有意に延長させN_2ーP_2振幅を有意に減少させた。また、ジクロフェナクナトリウムは潜時の延長はなかったがN_2ーP_2振幅を有意に減少させた。これに対しカルバマゼピンはP_2、N_3潜時を有意に延長させN_2ーP_2振幅(痛み関連電位)を有意に減少させた。ERP波形においてはイミプラン、カルバマゼピンはP_3成分(P300)の潜時延長と振幅低下を認めたのに対し、ジクロフェナクナトリウムには有意な変化はみられなかった。また各々の向精神薬のプラセボは投薬前後でSEP、ERPとも有意差はなかった。
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