1992 Fiscal Year Annual Research Report
歯科治療時の脳誘発反応変化に関する臨床的および基礎的研究
Project/Area Number |
03454475
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
廣瀬 伊佐夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70029982)
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Keywords | 脳誘発反応 / 脳血管障害 / 聴性脳幹反応 / 高血圧症 / 脳モニター |
Research Abstract |
1.有病者の脳誘発反応、健康成人群を対照として、主として聴性脳幹反応(ABR)波による脳血管障害群、高血圧症群(虚血性心疾患を含む)の異常所見についての検討を行った。 1)脳血管障害群では、IIおよびV波の潜時の延長とIV波の短縮を特徴とし、更に二峰性波や電位の減衰など波型異常の出現が高頻度であった。 2)高血圧症群では、I,II,III波の延長とIV波の短縮およびV波の延長傾向を特徴とすることが判明している。 1),2)の所見は、歯科治療時のストレス負荷時には強調されることが判明し、これらは臨床的患者評価の一法となり得る重要な知見である。また有病者での異常所見はABR波の発生源と考えられる脳幹部上位中枢の慢性的細胞変性または神経伝導系異常を示唆する。 2.動物の循環系変化に伴う異常波出現条件の検討:85dB以上の刺激条件下で検討を行った。 1)アドレナリン負荷による100〜180%の血圧変動内で、臨床上の高血圧症群で得られた各波型の潜時の延長を主変化とする波型異常を再現し得た。 2)片側総頚動・静脈・内頚動・静脈結紮による脳内圧(クモ膜下圧、脳実質圧)変化に対応する誘発波変化(各条件設定後4時間以内の観察)では、I〜III波の潜時の延長変化として、脳圧亢進と相関することが判明した。しかし、波型の異常は今回の条件下では再現不能であった。 3.今後の検討:動物実験より得られた脳圧変化と異常誘発波の相関を再検討して、臨床知見との関連を明確化し、有病者に対する臨床的患者評価法としての脳誘発反応変化有用性を検討する。
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