1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血清型マンノース結合蛋白の機能とその病態解析への応用性について
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03454505
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 邦彦 北海道大学, 医学部, 教授 (60091451)
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Keywords | マンノース結合蛋白 / MBP(mannose bincling pnotein) / レクチン / 急性反応性蛋白 |
Research Abstract |
平成3年度で確立したマンノース結合蛋白(MBP)測定法を用いて各種の体液,正常(年齢別)および疾患の血清MBPを測定し,MBPの動態について検索した。 1)3歳から100歳にいたる正常ヒト血清1085例について測定し,正常値をもとめた。全体の平均値は1.72μg/mlで,10歳間隔で区切り各年令層における平均値は、若年ほど高く,年齢の上昇と共に低下し30歳以降では1.5-1.6μg/ml程度で一定化した。MPB値は年齢因子が高く,その正常値設定には年齢を十分考慮する必要があることが明かとなった。 2)MBPの生直後の変化を見ると,臍帯血のMBP値は平均1.03μg/mlで、生下時すでにかなりのレベルのMBPが存在する。生後急激に上昇し,5日目までにほぼ生涯の最高値に匹敵する値に達した。 以上から,MBPは生下時すでに存在し,生後1週間以内に最高値に達し,以後漸減する物質であることが分かった。 3)髄液や尿,母乳では血清の1/1000程度のレベルで,腹水や胸水は血清の約1/100であった。炎症性の程度の高い胸水,腹水でMBP値が高かったこと,髄液や尿,母乳にはほとんどないことからMBPは主に血清成分として存在するものと考えられる。 4)慢性感染である結核ではその平均値は有意に高く,MBPは慢性感染の指標になると考えた。一方,種々の免疫不全症では,正常にくらべその平均値は有意に高く,免疫不全による慢性感染を反映しているのか,または免疫不全の感染防御因子として代替的に発現されるものと推定される。 5)腎組織におけるMBPの局在を蛍光抗体法で検討すると,ループス腎炎,膜性増殖性腎炎(type1),IgA腎症などの糸球体にMBPの沈着を示した。腎疾患の発症にMBPを介した抗体非依存性の機序の関与が推測された。
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[Publications] 寺井 格.小林 邦彦: "ヒト血清マンノース結合蛋白(MBP)の精製と抗血清の作製:MBP欠損免疫不全症の検索" 厚生省特定疾患免疫不全症候群調査研究斑平成3年度研究報告書. 121-124 (1992)
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[Publications] Terai,I.,kobayashi,K. Fujita,T.,Hagiwara,K.: "Human Sereum Munnre Binding Protein(MBP):Development of an Enzyme-Linked-Inmunosorbent Assay(ELISA)and Determination of Levelsin Serim from 1085 Normal Japanese and Some boby fluicls." Biochemical Medicine and Metabolic Biology.