1991 Fiscal Year Annual Research Report
ILー2およびエリスロポエチンに共通するシグナル伝達機構の検索
Project/Area Number |
03454524
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 卓 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80151900)
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Keywords | インタ-ロイキンー2 / エリスロポエチン / サイトカイン受容体 / チロシンリン酸化 / 情報伝達 |
Research Abstract |
近年、cDNA単離によりその構造が次々と明らかにされているサイトカイン受容体のうち、インタ-ロイキン2(ILー2)受容体β鎖は、エリスロポエチン(Epo)受容体などと共に、その構造の共通性から、一群の受容体ファミリ-に属し、同一あるいは類似のシステムを介して情報が伝達される可能性が考えられている。私達は、ILー2およびEpoによるシグナル伝達系を解析する目的で、1)Epo反応性細胞株のEpo刺激後に出現するチロシンリン酸化蛋白の解析、2)Epo反応性細胞株へのヒトILー2受容体β鎖cDNAの導入実験、を行った。まず、Epo依存性増殖を示す、マウスILー3依存性増殖細胞株FDCーP2のサブクロンであるEPーFDCーP2、およびEpoによりHb合成細胞に分化するマウス赤白血病由来ELMーIー1細胞株を、それぞれ、Epoで刺激し、抗リン酸化チロシン抗体を用いて、ウエスタンブロッティング法を行ったところ、両細胞株とも、刺激5分以内に、約95KDaのチロシンリン酸化蛋白の出現を認めた。次に、上記二種類のEpo反応性細胞株に、ILー2受容体β鎖cDNAを導入してβ鎖を発現させたところ、ILー2刺激でも、Epo刺激と同様の細胞増殖,分化を誘導することが可能となった。さらに、ウエスタン法で検索したところ、Epo刺激で出現するチロシンリン酸化蛋白と同じ分子量のチロシンリン酸化蛋白が、ILー2刺激5分以内に検出された。このように、約95KDaのチロシンリン酸化蛋白は、Epo刺激だけでなく、ILー2刺激によっても出現することから、少くとも、ILー2およびEpoによる細胞増殖,分化に深く関与している可能性が考えられる。また、上記の結果は、ILー2とEpoによるシグナル伝達系には、共通の機構が働いている可能性を強く示唆している。
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Research Products
(1 results)