1992 Fiscal Year Annual Research Report
酸素タンパク質におけるヌクレオチド結合部位の構造的特徴(リジン残基とグリシン残基の役割を中心にして)
Project/Area Number |
03454539
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 俊郎 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90029843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀谷 光男 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30179569)
谷澤 克行 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20133134)
|
Keywords | UDPGピロホスホリラーゼ / ATPアーゼ / ヌクレオチド結合部位 / 酵素の活性部位 / リジン |
Research Abstract |
私どもは、これまでにヌクレオチドまたは糖ヌクレオチドの結合部位にあるリジン残基を特異的に標識する新しい型の試薬を開発するとともに、いわゆるグリシン・リッチ領域への変異導入を試みてきた。本研究課題のもとで平成4年度では、以下のような新しい知見を得た。 1)反応性ピロリン酸アナログであるピリドキサール 5'-ニリン酸を用いて、ジャガイモ塊茎UDPGピロホスホリラーゼの親和標識を試みた。酵素1モルに対して1モルの試薬の取り込みにより、酵素は完全に失活した。失活はMgUTP、MgPPi、グリコース-1-リン酸の添加により阻止されたが、UDPGの添加により逆に促進された。UDPGの存在下で、試薬はLys-329を特異的に修飾することが分かった。これらの結果から、Lys-329がMgPPiの結合に関与するものと結論した。 2)ロイシン脱水素酵素がピリドキサールリン酸で修飾させることによって、急速な失活を起こすことを見いだした。この失活はロイシンまたはNADの添加によって阻止され、失活と並行して酸素サブユニットあたり数個の試薬が取り込まれる。修飾される残基はLys-80、Lys-91、及びLys-206であったが、そのうちで基質添加によりLys-80の修飾のみが特異的にそしされることが判明した。これらの結果から、Lys-80が活性部位に存在し、触媒反応に重要な役割を果たすものと結論した。 3)アデノシンミリン酸ピリドキサールによる大腸菌F_1-ATPアーゼの親和標識を試みた。Mgの非存在下ではαLys-201とβLys-155が主として標識されたが、Mgを添加するとβLys-155とβLys-201が主として標識されることが明らかになった。これら3つの残基が触媒部位に結合するATPのγ-リン酸基内近くに位置し、Mgの添加により2つのβ残基がγ-リン酸基により近接するものと考えられる。
|
-
[Publications] Yasuaki Kazuta: "Probing the Pyrophosphate-Binding Site in Potato Tuber UDP-Glucose Pyrophosphorylase with Pyridoxal Diphosphate." Protein Sci.2. 119-125 (1993)
-
[Publications] Takahiro Matsuyama: "Lucine Dehydorogenase from Baciltus stear-othermophilus:Identification of Active Site Lysine by Modificaion with Pyridoxal Phosphate." J.Biochem. 112. 258-265 (1992)
-
[Publications] Kenji Ida: "Catalytic Site of Fl-AtPase of Escheri-chia coli." J.Biol.Chem.266. 5424-5429 (1991)