1991 Fiscal Year Annual Research Report
Na^+ポンプにおける真時間での構造変化と分子内のカチオン移動
Project/Area Number |
03454543
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷口 和弥 北海道大学, 理学部, 教授 (40028204)
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Keywords | ナトリウムポンプ / 構造変化 / ATP加水分解酵素 |
Research Abstract |
1.Na^+,K^+ーATPase α鎖Cysー964にNー[Pー(2ーbenzimidazolyl)phenyl]maleimide(BIPM)とLysー501にFluoresceinisothiocyonate(FITC)を導入し、反応中間体形成に伴うBIPMプロ-ブからFITCプロ-ブへの蛍光エネルギ-移動を測定した。その結果、NaE_1からE_1P、E_1PからE_2P形成に伴って、BIPMからFITCプロ-ブへの蛍光エネルギ-移動が増加することが示された。特にNaE_1からE_1P形成に伴って速い成分とおそい成分とからなる2相性のエネルギ-移動の増加が観察された。E_2PからKE_2及びKE_2からNaE_1への変換に伴って、今度は逆のエネルギ-移動の減少が観察された。各反応中間体形に伴う両プロ-ブ間距離の変化を定常状態での蛍光測定から推定した結果は実験誤差内でほぼ一定であった。現在、時間分解、蛍光偏光解消法によりこの点をさらに研究中である. 2.E_2PからKE_2への変化に際して、脱リン酸化の速度は140/S<であり、構造変化に基づくBIPM及びFITC両プロ-ブの蛍光変化はこれより約1桁及び2桁おそい2相性の変化を示した。現在、補助金で購入したラピッドフィルトレ-ション装置を用い、この構造変化とイオンの結合の時間経過の測定を行なっている。又、KE_2からNaE_1及びNaE_1からKE_2への蛍光変化にはMg^<2+>をまったく必要といないことも明らかになった。従って構造変化はリン酸化、脱リン酸化によって生じるのではなく輸送されるイオンの分子内移動を反映することを示している。
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[Publications] 中村 洋介: "Na^+、K^+ーATPaseのα鎖Cysー964及びLysー501に導入した蛍光プロ-ブの蛍光強度変化のリン脂質依存性" 生化学. 63. 773 (1991)
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[Publications] 谷口 和弥: "蛍光プロ-ブでラベルしたNa^+,K^+ーATPaseにおける蛍光エネルギ-移動:Oligomycinの効果" 生化学. 63. 773 (1991)
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[Publications] 山崎 明雅: "Na^+,K^+ーATPaseのPhosphatase基質による構造変化" 生化学. 63. 774 (1991)
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[Publications] 江口 博明: "ATPとアセチルリン酸によるH^+,K^+ーATPaseの構造変化" 生化学. 63. 775 (1991)
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[Publications] 牛田 吉彦: "オリゴマイシンのH^+,K^+ーATPaseに及ぼす効果" 生化学. 63. 775 (1991)
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[Publications] 谷口 和弥: "Na^+,K^+ーATPaseとH^+,K^+ーATPaseのアセチルリン酸による構造変化とリン酸化:オリゴマイシンの効果" 生体エネルギ-研究会第17回討論会講演要旨集. 17. 158-159 (1991)
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[Publications] Eiji Shinoguchi: "The Sodium Pump:Recent Developments" The Rockfeller University Press, 4 (1991)
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[Publications] Toshio Sasaki: "The Sodium Pump:Recent Developments" The Rokfeller University Press, 5 (1991)