1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454550
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 和生 東北大学, 理学部, 助教授 (20093536)
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Keywords | 自然突然変異 / tonB遺伝子 / supF遺伝子 / IS因子 / 過酸化水素 / トランスバ-ジョン |
Research Abstract |
突然変異が如何にして生じるかと言う問題を解決するためには、できあがった突然変異体の特異性を明らかにすることが重要である。この目的のために、大腸菌染色体上のtonB遺伝子及びプラスミド上のsupF遺伝子を標的とし、容易に突然変異体の分離、遺伝子のクロ-ニング、塩基配列の決定を行えるような実験系を作った。それぞれの遺伝子での自然及び誘発突然変異の特徴は以下のとうりである。 1.tonB遺伝子での自然突然変異の原因の90%はIS因子の挿入が原因である。IS因子の挿入については、大腸菌野生株、recA欠損株でも等しく観察された。挿入位置については、塩基配列上の特徴は無かった。 2.supF遺伝子での自然突然変異は、塩基置換が63%、IS因子挿入が25%、欠失が10%、フレ-ムシフトが2%であった。塩基置換のうちトランジションは15%、トランスバ-ジョンは85%であった。また、塩基置換のうちG:C塩基対で変異のあるものは85%となり、これは自然に生じるG:C塩基対での塩基損傷が原因となって、複製の際に対合誤りが生じたのであると考えられる。 3.過酸化水素誘発突然変異の特異性をsupF遺伝子を標的として調べた。塩基置換が90%であり、そのうちG:C塩基対でのトランスバ-ジョンが83%を占めていた。IS因子の作用は全く見られなかった。過酸化水素は、8ーヒドロキシルグアニンをDNA上に作り、高頻度でG:C→T:Aのトランスバ-ジョンを誘発することが知られている。従って、グアニン損傷が主原因となって突然変異が生じたものと考えられる。 以上の結果より(1)自然変異にはIS因子が重要な原因である。(2)supF遺伝子を標的とした場合、自然変異と過酸化水素誘発変異の特異性はよく似ていた。自然環境の活性酸素の関与が示唆される。
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[Publications] Susumu Akasaka: "Construction of Escherichia coli K12 phr deletion and insertion mutants by gene replacement." Mutation Research. 254. 27-35 (1991)
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[Publications] 山本 和生: "光による光障害の回復" 遺伝. 45ー10. 49-54 (1991)
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[Publications] Kazuo Yamamoto: "Dissection of functional domains of Escherichia coli DNA photoreactivating enzyme by linkerーinsertion mutagenesis." Molecular and General Genetics.
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[Publications] Susumu Akasaka: "An improved 1acZ(am)E.coli host designed for assaying pZ189 supF mutational specificity." Mutation Research.