1991 Fiscal Year Annual Research Report
生化学的に重要な部位をブロックしたミオシンのin vitro運動再構成系での解析
Project/Area Number |
03454555
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
平塚 寿章 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30041825)
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Keywords | 筋収縮運動 / in vitro運動解析 / ミオシン |
Research Abstract |
筋収縮運動は、各々が筋タンパク質のミオシンとアクチンで構成されている二種類のフィラメントが互いに滑り合うことによって起きる。ミオシンはアクチンを結合するのみならず、アデノシンー5'ー三ーリン酸(ATP)を水解する酵素作用(ATPase)も合わせもち、この作用で得られる化学エネルギ-を力学エネルギ-に変換して筋肉を収縮させる。しかしながら、このエネルギ-変換の分子機構については不明なことが多い。 in vitro運動再構成系を用いて筋収縮運動を解析する研究方法は、筋収縮運動に必須のミオシンとアクチンという要素だけを生体から抽出して運動系を再構成しているので、簡易に再現性良く運動を観察することができ、いろいろな条件下での筋収縮運動を定量的に解析できる。 ミオシンには、ATPase作用やアクチンとの結合に関与しているいくつかの“重要部位"があることが明らかになっている。しかしながら、ほとんど総ての“重要部位"については生化学的研究しか行われていない。従って、これらの“重要部位"が、筋収縮の分子機構を考える時に、真にミオシン分子に必須なものか否かについてはほとんど不明である。 本研究では、ミオシン頭部(Sー1)の“重要部位"の一つであるCysー697(SH2)に着目し、これをブロックしたミオシンが筋収縮運動を起こせるか否かを検討することを目的とした。この一年間で、SH2のみを選択的にブロックする方法について種々の試薬を使って試みた結果、2ー(4ーマレイミジルアニリノ)ナフタレンー6ースルホン酸(MIANS)を使うと他のアミノ酸残基にはほとんど影響を与えずにSH2のみをほぼ定量的にブロックすることができることがわかった。これからの一年間で、この方法をヘビ-メロミオシン(HMM)に応用し、得られたHMM誘導体を使ったin vitro運動再構成系の解析を行い、SH2が真に筋収縮運動に必須か否かについて明らかにしたい。
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